鈴蘭台の地に隠された日本エレキギター創世記の足跡

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更新:2019.1.23

第3回---鈴蘭台の地に隠された日本エレキギター創世記の足跡

【鈴蘭台の地に隠された日本エレキギター創世記の足跡】

そこで私は、インターネットでこのギター、FIRSTMAN BROADWAY CUSTOM 1968について、詳しく調べてみることにした。すると、驚くべきことがわかったのだ。

このギターが50年前に製造されたのは、神戸市北区鈴蘭台と書かれていた…つまり、この土地だった。工場があったのは鈴蘭台東町4丁目6の辺り。そこに、firstmanという日本のギターメーカーの製造工場があり、1968年、ここで、このギターは誕生したのだ。私はなにも知らずに、横浜からこのギターを、故郷の鈴蘭台に連れて帰ってきたのだった、半世紀の年月を経て。

さらに調べてみると、鈴蘭台にはこのfirstman以前の1950年頃にもニッカードというエレキギター製造メーカーがあり、『関東のTESCO、関西のニッカード』などと言われていたことがわかった。今ではほとんど知られていないが、鈴蘭台は、日本のエレキギター創世記に深い関わりのある土地だったのだ。

私はこの偶然とは思えない事実に励まされ、必ず将軍を復活させようと心に決めた。その後、神戸のミュージシャンの友人に、良心的で腕の良いリペアマンを紹介していただき、将軍は完璧に修理された。今では元気に音を奏でている。

1950年代に思いを馳せる。戦後間もなく、新しい思想や様々なものが次々と産み出され混迷する時代の中で、エレキギターの力強い魅力的な音色は、確かな何かを探す若者たちに夢や憧れを与えていたのではないかと思う。熱気を帯びた当時の若者たちの憧れと情熱を思いつつ、これからも将軍と共に、新しい時代に向かって希望のロックンロールを響かせていきたいと思う。

石川ヨナ
ブルースロック・シンガーソングライター。横浜生まれ横浜育ち。2017年より神戸に移住し、関西各地でライブ活動を展開中。
ライブ情報など詳しくはオフィシャルfacebookページをチェック
https://m.facebook.com/ishikawayona/

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