毎年インフルエンザの流行期に抗インフルエンザ薬について説明をして、患者さんをがっかりさせてしまうことに、もう、正直うんざりしています。というのも、タミフルをはじめとする抗インフルエンザ薬の効果は健康な人で発熱後４８時間以内に服用を開始すれば熱の期間が１日短くなる程度だからです。もちろん入院が必要な方や重症化する危険性の高い人は重症化を予防する効果が認められていますが、健康な人にはその効果は認められていません。

しかも、その１日だけでも早く治りたいという思いもあると思いますが、インフルエンザの熱の期間は１日?５日程度。約半数の方が１日で熱がさがるという研究結果もあるくらいで、抗インフルエンザ薬を飲む効果は実感できるものではありません。さらにその他の症状をとる効果もありません。だから、抗インフルエンザ薬の使用を普通の健康な人にはお勧めしていません。

では、重症化する危険性の高い方とはどういう方かというと以下のいずれかに該当する方です。①５歳以下または６５歳以上。②心臓、呼吸器、腎臓、糖尿病を含む内分泌系のお病気をお持ちの方。③免疫不全と言われている方や免疫抑制薬を使用されている方。④高度肥満（BMI>40）の方。⑤妊娠中または出産後２週以内の方。になります。これらに該当される方にはすすんで抗インフルエンザ薬を処方いたします。

上記に該当しない方には処方をしたくありません。ですが、熱冷ましなどの症状をやわらげるお薬はしっかり処方し、今後のことについてしっかり説明いたします。

それでは皆様、くれぐれもお体をご自愛ください。

こさか家庭医療クリニック 院長　小坂文昭