Pochitto(ぽちっト)神戸 | 横塾のちょっと一息
更新:2019.5.23
第2回---横塾のちょっと一息
【手元の入り口】
今年度も始まり、みんな入学したり、就職したり、新生活を始めるために引っ越ししたり。個人的に活躍の場が増える楽しい時期だ。
最近も、元教え子たちの新居にお邪魔して、壁掛けテレビ・ウォシュレット・デスクベッド等を設置した。この種の作業は、すぐ結果が見えるのが楽しい。
普段使うことのない道具を活躍させられるのが嬉しいし、本人たちもまだ生活を始めていない真新しい空間で、我が物顔で異音を立てられるのも、ちょっとした優越感を味わえる。
いつもと違う場所で、いつもと違う体勢で作業をするのも新鮮で、自分の趣味を望まれる状況で鼻高々に披露できるのも格別だ。もちろん、こんな作業をするときには、ちょっとした困難があった方が体験がより引き締まる。テレビを壁掛けにしたいのに壁に穴を開けられないとか、ウォシュレットの部品の長さがあってないだとか、わかりにくい説明書で複雑なデスクベッドを組み立てるだとか。
元教え子の前だから、そう簡単に撤退するわけにはいかない。彼らに認められようと思考を巡らし、時にはインターネットを駆使する。頭の中がかき混ぜられ、解決策が舞い降りてきて、どうにかこうにか無事に作業が終わる。そんな時には、「いい世の中だ。」なんて悦に入ったりする。
四半世紀前には、その道のプロしか知らなかった情報や手に入らなかった道具が、手元のスマートフォンの操作で手に入る。自分の意思を実現させるための道が開かれている。
子ども達には、こんな素敵な世の中のステキさをうまく伝えたい。何か願望を抱くことが、この素敵な世界への入り口だ。偶然抱いた小さな願望が自分の行動にリンクして実現される。これが繰り返される世界では、人生は充実感と万能感に満たされるだろう。
子ども達がこの世界と問題解決に向けて対話をする、その過程に少しでも顔を覗かせることができれば、この上ない喜びだ。
ヨコ塾 横山 聡