Pochitto(ぽちっト)神戸 | 噺家人情列伝
更新:2020.9.23
第9回---噺家人情列伝
久しぶりの出番。
神戸新開地喜楽館の楽屋に入ると、懐かしい先輩や後輩の顔。
「元気やったか?」
「また落語ができるようになってよかったな。」
舞台を見ると、以前と変わらず完璧な状態に。
落語会がない間も、スタッフの皆さんのおかげで、そのままの状態で保たれていた。
出囃子が鳴り舞台へ。
入場者数をいつもの半分以下に抑えられた客席。
だが、不思議と前と同じかそれ以上の笑いが起こる。
目の錯覚だろうか、空けてあるはずの席に、志半ばにして亡くなった、先輩達の姿が見える。
「席が空いてるなら、客席から見せてもらおうか。」と言わんばかりに。
その期待に応えるように、いつも以上に力の入った舞台を終えることができた。
落語は舞台では一人だが、ここにいたるまでに、たくさんの人に支えられている。
この時期になり、落語ができる喜びをあらためて噛みしめつつ、後輩達のためにも歩みを止めるわけにはいかない。