Pochitto(ぽちっト)神戸 | SUBARUのラトビア便り
更新:2019.7.23
第3回---SUBARUのラトビア便り
誰かが歌い始めたら瞬く間に合唱に、誰かが踊り始めたら瞬く間にフォークダンスの輪に…、ラトビアでよく見かける光景です。
「歌の民」と形容されるラトビア人、その秘密は民謡にあります。古代よりラトビア人は日々の生活や自然、年中行事や冠婚葬祭を歌で伝えてきました。これらの全てが詰まった「ダイナ」と呼ばれる民謡は100万篇以上あると言われています。
音楽に欠かせないものの一つが「クアクレ」という日本の琴のような楽器。元来は人が亡くなると木からこの楽器を作り、その魂と対話するために生まれたと言われています。他に太陽の動きに準じて夏至祭や冬至祭などの年中行事を行うなど、自然と共に暮らしてきた民族と言えます。
ユネスコ無形文化遺産でもある「歌と踊りの祭典」は100年以上の歴史を誇る壮大なお祭りで、期間中は国中から合唱団、舞踊団、合奏団が集まり、リガのいたる所でコンサートが開催されます。最終夜の合唱ステージは鳥肌もの。
15,000人の歌声が深夜まで響き渡り、空気と一体になって体や神経を包んでくれます。度重なる占領を受け過酷な歴史に翻弄されながらも、歌うことで民族として誇り高く繋がっていたラトビア人にとって民謡はアイデンティティの結晶なのです。
溝口 明子
ラトビア雑貨専門店SUBARU店主でラトビア伝統楽器クアクレの奏者。著書『持ち帰りたいラトビア』(誠文堂新光社)。関西日本ラトビア協会常務理事。2017年に駐日ラトビア共和国大使より両国の関係促進への貢献に対する感謝状を拝受。
http://www.subaru-zakka.com/