Pochitto(ぽちっト)神戸 | 茶の湯って
更新:2018.7.23
第1回---茶の湯って
【茶の湯って】
500年前の室町時代は、もっとも人々が微細な感覚を持っていた時代ではなかったろうか。芸能というものが一段と昇華され、洗練された時代で、茶の湯はこの室町の時代に産まれたのだ。
「茶の湯」の本のを翻訳するにあたり、私は京都の建仁寺や待庵(国宝)等の茶室を見に行ってみた。禅宗の建仁寺は平安時代に抹茶文化を持ち帰った栄西禅師が建てた寺で、それ以来然と茶は深く結びついて来た。大徳寺もそうだが、なぜか禅宗は観光客に媚びていない。 ただ静けさと、簡素な自然の中で自分をとりもどす空間がそこにあった。
「そうか、お茶とは自分をとりもどす時間と空間なのだ。」
茶室は粗末な茅葺の小屋を演出しながら、超一級の建築技術とあそび心に溢れる。窓にしろ、天井にしろすべてがおしゃれだ。2畳ほどの茶室を建てるのに、家一軒建てる以上のお金が必要と聞くと、お金持ちでないと茶の湯は楽しめないのか?と思ってしまう。 「茶人とは隠遁者の心を持ち、鍋ひとつあれば楽しめる」と言いながら多くの茶聖は大商人であり、国宝級の茶碗や掛軸等を自慢する場所が茶室でもあったからだ。
しかしながら、茶人とは禅の修行を積んだ僧侶でもあった。これが多くの禅宗寺院が豊かな理由のひとつでもある。中国語ができることで通詞としての役目も担って来たからだ。う~ん、わからなくなる。けれども修行とお茶が関係するとすれば
「お茶とは神や仏と対話する時間と空間でもあるのだ。」
おもてなしの心もそこから始まったのだ。
井筒 恵子
神戸市在住・関西外語大学英米語学科卒
訳書として
「茶の湯 こころの歴史」著者・熊谷保教 訳者・井筒恵子 出版社・一粒書房
共訳本として
「子どものたちのためのハーブブック」出版社・バベルプレス
神戸元町Cerceau de Caya(せしゅうど かや)経営