Pochitto(ぽちっト)神戸 | 茶の湯って
更新:2018.9.23
第2回---茶の湯って
【利休の師匠 武野紹鴎と「一期一会」】
利休の師匠は武野紹鴎といい、堺の豪商であった。会ったことはないけれども、ちょいと太めでにこやかな大阪のおっちゃんやった気がする。彼は和歌や連歌などを超一流の先生について学び、もちろん禅も学んだ。茶の湯のためだ。
24才の時に、上洛して当時の古典研究の第一人者・三条西実隆から藤原定家の歌論書の講義を聞いて、茶の湯に開眼したと言われる。開眼とはその真髄を感じ取ることだ。
下世話な話になるけど、この時、どのくらいお金を積んだのだろう。茶の湯や和歌を学ぶのにお月謝がいかほどだったかはどこにも書いていないような。けれども彼はこう言いそうな気がする。「自分のレベルアップにお金をおしんだらあきまへんで。超一流の先生に習いなはれ」
そして紹鴎は華美に走っていた茶の湯から離れ、素朴な「侘び茶」を追求していく。いつものお茶のおけいこであっても、露地に入ってから茶会が終わるまで、「一生に一度の大切な瞬間である」と思い、客は亭主を敬うこと、そして亭主も客人を敬うことの大切さを説いた「一期一会」という言葉は、茶の湯においてもっとも大切な理念となった。この「一期一会」を英訳すると
Once-in-alifetime
Only one chance in a lifetime
英語の表現だとなんとも軽くなる気がする。日本語の深みは表現できない。
江戸時代、井伊直弼も茶会とは「一期一会」の会であるから、亭主はすべてのことに心を尽くし、客も心から亭主の心を読み、実意をつくせと書き残している。茶会とは私達のクリエイティビティが刺激され、ワクワクするものなのだ。また、茶会だけではなく、毎日毎日が「一期一会」だと思っていきると、きっとじんせいかわるんだろうな。
井筒 恵子
神戸市在住・関西外語大学英米語学科卒
訳書として
「茶の湯 こころの歴史」著者・熊谷保教 訳者・井筒恵子 出版社・一粒書房
共訳本として
「子どものたちのためのハーブブック」出版社・バベルプレス
神戸元町Cerceau de Caya(せしゅうど かや)経営