茶の湯って

Pochitto(ぽちっト)神戸 | 

Pochitto(ぽちっト)神戸 | 茶の湯って

更新:2018.11.23

第3回---茶の湯って

【おもてなしの心】

茶の湯の翻訳も終盤にさしかかった頃、私は京都在住のカナダ人で裏千家教授のランディ先生を訪ねた。ランディ先生は30年も前に来日され、1996年に裏千家茶道専門学校を卒業、1999年に茶名・宗榮をいただいた後、茶の湯の指導をされている。日本人以上に着物をすてきに着こなす粋な茶人だ。茶の湯の英訳をするのなら、やはりネイティブに「茶の湯とは」を聞いてみたかった。

What do you think is the best point of Chado?

茶道の一番すばらしい所はどんなことでしょうか?

The host and the guests cooperate together to make the ceremony.

亭主と客が一緒につくりあげるということでしょうか。

彼はそう言った。やはり茶の湯の醍醐味は主人と客がいて、共に作り上げるものなのだ。ランディ先生は、朝一番に上京区にある梨木神社に聖水を汲みに行ってくれたらしい。梨木神社の境内の井戸水は「染井の水」と呼ばれ、京都三名水の一つとされている。先生はすこし足がお悪いように私には感じられたのに、わざわざ朝早くに茶につかう水を汲みに行ってくださったのだ。私はいたく感動した。ただの茶道体験の為にそこまでしてくださるとは。 そして彼は茶菓子を用意し、茶器等の道具をそろえ、軸をかけ、花を活けて私達を迎えてくださった。

本来の茶会は、それからライブが始まるのだと思う。バックグラウンドミュージックは湯の沸く音、着物の絹がすれる音、風や水の音。そして茶会の参加者は五感を使ってその日のテーマを想像し、客をする。

How to behave a guest decides the tea ritual.

客人としての心構えが茶会を成り立たせる。

いわゆる「客ぶり」ということだ。茶会を成り立たせるのは、お互いの尊敬に基づく客と亭主の会話であろうか。また、五感の先にある直感と共に自分とも対話できる気がする。静寂の中、ぶれない自分に出会えるのかもしれない。

井筒 恵子
神戸市在住・関西外語大学英米語学科卒

訳書として
「茶の湯 こころの歴史」著者・熊谷保教 訳者・井筒恵子 出版社・一粒書房

共訳本として
「子どものたちのためのハーブブック」出版社・バベルプレス

神戸元町Cerceau de Caya(せしゅうど かや)経営

過去の「茶の湯って」情報

第1回

茶の湯って

更新:2018.7.23

第3回

おもてなしの心

更新:2018.11.23