Pochitto(ぽちっト)神戸 | 横塾のちょっと一息
更新:2019.5.23
第3回---横塾のちょっと一息
【ペトリコール】
「ペトリコール」って聞いたことありますか。可愛い響きですね。「ペコリトール」だともっと可愛いなぁと思うのです。妖精が「ペコリ」ってお辞儀をして目の前を「トール」様子が浮かんでくるわけです。
いや、そんな妄想はどうでもよくて、「ペトリコール」です。この言葉は、「雨の匂い」を指す言葉で、造ったのは、ベアとトーマスってヨーロッパ人。
初めて、この言葉を知ったとき、「雨の匂いに名前をつけるなんて、やるな、ヨーロッパ。」なんて感心したのを覚えてます。それまでの私は、漠然とした「日本語の優位性」なるものを信仰していたのです。
「英語には?木漏れ日"なる言葉がないんだよ。」高校の授業だったか、参考書だったか、記事だったかは覚えてないのですが、若かりし頃の私は、衝撃を受けるとともに、日本語に対して、くすぐったいような誇りを感じました。
「sunlight through through the leaves だって? 不格好な言語だぜ。情緒も何もあったもんじゃない。やっぱ、木漏れ日でしょ。」なんて悦に入ってました。
それが、「ペトリコール」。夏のむっとする熱気を表す言葉なら「草いきれ」があるのですが、私のような未熟者には「クサイキレ(布)」が連想されてしまいますし、これは「雨の匂い」ではないのです。
あきらかに感じ取られる「匂い」に和名がなく、ヨーロッパでは名称が与えられている状況に、「うむ、まいった。これは、ヨーロッパも認めなくてはならないだろう。」となったわけです。
調べてみると、岩を表す「ペトラ」と、神の血を表す「イコル」に根を張る言葉で、もうこれは感服、脱帽せざるを得ませんでした。
外は雨。こんなことを思い出しながら、ぼんやりとテレビを見ていると、ペコリと妖精が横切った。
ヨコ塾 横山 聡