【真鍋淑郎氏に学ぶ】

ノーベル賞の真鍋淑郎氏が、日本に戻りたくない理由を、「日本では常に他の人の迷惑にならないようにしています。」とコメントしました。「和を以て尊しとなす」は大切なことですが、科学・サイエンスの世界では「我が道を行く」ことにより成功することが多いと思います。

医療の世界でも、全国統一の治療方針を決めることがあります。その時に、Ａという治療方針とＢという治療方針で意見が分かれたときに、ＡとＢの中間をとるような治療方針を選ぶことは、あり得ないと思います。

例えば、がん治療の場合、
Ａは手術で全部切り取る、Ｂは抗がん剤投与のみの治療とします。この時にそれぞれの治療方針の中間をとって、半分だけ手術で切り取り、半分の量の抗がん剤で治療をする、という治療方針にはなりません。それぞれの治療方針には、それを支持する積み重ねられたデータがあります。

しかしＡとＢの中間をとった治療方針には、それを支持するデータはありません。

これは極端な例ですが、科学・サイエンスの世界では、他人に忖度をして仕事をすることが、正しい選択にならないことが多いと思います。自分の意見が通らなかった医者（科学者）は、悔しいと思いますが、仕方ありません。新型コロナワクチン開始が遅かったことからも分かるように、日本は海外に比べて、意思決定に時間がかかります。各方面に気を使わないといけないことも、その一因だと思います。

何が一番大切なのか。

人の感情なのか、科学的な真実なのか。

時と場合によって異なると思います。

今は何が一番大切なのか、しっかりと見極められるようになりたいです。

TEAM NEXT GOAL 発起人　小児科医　楠木重範