Pochitto(ぽちっト)神戸 | TEAM NEXT GOAL
更新:2022.3.23
第4回---TEAM NEXT GOAL
【妊よう性】
「妊よう性」とは、「妊娠するための力」のことです。これは、男性にも女性にも関係のあることです。
「子どもを持ちたい」と思いつつ、なかなか妊娠しないカップルは、5~10組に1組と言われています。その原因はさまざまで、簡単には説明できません。
また、抗がん剤の影響で「妊よう性」が低下することもあります。(がんは、高齢者だけの病気ではなく、子どもや若者にも発症します。)以前は、がんの治療のためだから仕方がないと諦めていました。
しかし、がんの治療の進歩によって、多くの若い患者さんもがんを克服できるようになりました。そして近年では、将来子どもをもつ可能性を残すために、卵子や精子、受精卵を凍結保存する「妊よう性温存」という選択肢も加わってきました。
がんの治療の事だけでなく、子どもを持つ可能性を残せるという、患者さんの人生にも配慮して治療方針を考える時代になったことは、良い事です。しかし、治療をしたからといって必ず妊よう性が温存されるわけではありません。
ここで大切なのは、妊よう性が温存されること、つまり子どもを持つことが良いことだという価値観を押し付けてはいけないということです。
病気などの理由が無くても、妊よう性が低下している方もいます。子どもを持ちたいと考えている方が、できるだけ子どもを持てる時代になるのが望ましいですが、必ずしも実現できるわけではありません。
また、子どもを持つことを希望しない人生を選択される方もいます。
結婚式の挨拶などで、「元気な赤ちゃんの顔がはやく見たいです」とコメントする方がいます。もちろん悪気は無いと思いますが、私はこのような挨拶は控えた方が無難だと思っています。
TEAM NEXT GOAL 発起人 小児科医 楠木重範