Pochitto(ぽちっト)神戸 | TEAM NEXT GOAL
更新:2022.1.23
第3回---TEAM NEXT GOAL
【ワクチン】
新型コロナウイルスに限らず、「ワクチンを接種した方が良いか?」という質問を、小児科医をしているとよく受けます。
人それぞれ考え方はありますが、私は国で認められているものは、基本的にお勧めしています。ただ、ワクチンを接種したくないという意向を示された場合は、ワクチンを接種しない場合のデメリットについてはご説明をさせていただきますが、お勧めはしません。
基本的には個人的な見解ではなく、国の制度としてどういう方針か、日本小児科学会がどのような方針か、ということをベースにご説明をさせていただきます。
例えば、「インフルエンザワクチンはしたことはないが、今までインフルエンザにかかった事は無かった。でも昨年初めてワクチンをうったら、インフルエンザにかかった。だからこれからワクチンはうたない」とおっしゃる方がいました。ワクチン接種をしてもインフルエンザにかかる可能性はあるので、医学的にはワクチン接種をしない理由にはならないのですが、このようなエピソードがあれば、ワクチン接種をしたくなくなる気持ちはわかります。公衆衛生の観点から言うと、できるだけ多くの方がワクチンを接種して、有害なウイルス・病原菌は、世界から撲滅する方が良いです。
水ぼうそうを例にとってみると、日本では定期接種になったこともあり、水ぼうそうの感染者数は激減し、水ぼうそうの子どもを見たことがない医師も多いと思います。
免疫力が低下している子ども、例えば小児がんで抗がん剤治療中の子どもや、ネフローゼという腎臓の病気の治療中の子どもは、水ぼうそうにかかると重症になり、命に関わることもありました。また、免疫力が低下している子どもは水ぼうそうのワクチンを接種することができません。その子どもたちができるだけ安心して保育園・幼稚園・学校に通うために、たくさんの子どもに水ぼうそうのワクチン接種をしてほしいと思っています。
しかしワクチンをしたくないというご家族がいれば、その考えを尊重するしかありません。
全体の利益と個人の権利の両立は、本当に難しい課題です。
TEAM NEXT GOAL 発起人 小児科医 楠木重範