許先生の健康TIPS

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更新:2024.3.23

第4回---許先生の健康TIPS

■家族以外の誰かとして...

身近な人にはなんとなく話しにくいことって、皆さんもあることでしょう。最近、佐々涼子さんの書かれた本を読んでいて、このことについてハッとさせられたことがあった。人の死について考え、取材を重ねてきたこの著者が、何気ない話ができる、利害関係の発生しない距離にある存在が大切だという。彼女は取材を重ねる中で、終末期にある人や災害被害者が、特に気の利いたことを言うわけでもない自分になぜこんなことを話してくれるのか?と考えていたらしいが、行き着いた答えが、近くにいる人に話すには重すぎること、そう言ったことは、通り過ぎる人であっても、耳を傾けてくれる人の方が話しやすいということだそうだ。そういう人に話すことを通じて、もっと大きな何かと対話しているのだろうということに思い至ったらしい。

医療の現場で注目されている人生会議。それは終末期に受けたい医療について家族や近しい人と話し合うこと。終末期に受けたい医療、そんなことを話すと家族を不安にさせてしまう、その気持ちは容易に理解できる。いくら、人生会議といって、家族との話し合いを奨励しても、あまり進まないのは、関心がないのではなく、家族を心配させたくないという愛情のためなのかもしれない。もしそうなら、家族以外で、耳を傾けてくれる誰かにぜひ話をしてほしい。

皆さんにとって、そんな距離にいる方がいるでしょうか?「街にはそう言う距離の人がいる。飲み屋の店主、タクシーの運転手、かかりつけの医師に看護師・・・」と、佐々涼子氏はいう。かかりつけ医として診療していると、いろんなことを伝えてくれる方がいる。私には聞くことぐらいしかできず、なんて言葉をかけていいかもわからないことも多々ある。でも、患者さんが話してくれる、そんな距離に居続けることが大切なのかもしれない。皆さんも、家族以外の誰かとして、かかりつけ医とぜひ向き合って、いろんな話をしてください。それが人生会議に つながっていくと期待しつつ。

院長 許 智栄

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