Pochitto(ぽちっト)神戸 | 「 ネズミくんとハコのなかのネズミちゃん 」
更新:2018.11.23
第11回---ネズミくんとハコのなかのネズミちゃん
あるところに、ハコに入ったままのネズミちゃんがいました。
だれともお友だちになりたくない。
と、ハコに入ったきり、出てこないのです。
そんなネズミちゃんとお友だちになりたい。かおだって、見てみたい。
男の子のネズミくんは、いつもかんがえていました。
だから、ハコをゆらしてみたり。たたいてみたり。うえにのってとびはねてみたり。
すぐちかくから、大声でさけんでみたり。
「かおを出してよ」
けれど、ネズミちゃんはうんともすんとも言いません。
そこへ、ネコがやってきました。
「おもしろいハコだな。なになに、なかにネズミちゃんが入っているだって」
ネコはにんまりと笑いました。
「よしよし。ハコもいっしょに食べてしまおう」
ネコが、おそいかかります。そのまえに、ネズミくんがとび出しました。
「だめだよ。ネズミちゃんのハコは、ぼくがあけるんだ」
そして、ネズミくんはネコとたたかいました。「チューチューチュー」
ネズミくんがネコのしっぽをかじると、ネコはおどろいて、にげていきました。
「ありがとう」
女の子のこえがきこえて、ネズミくんがふりかえってみると、ネズミちゃんがハコからかおをのぞかせていました。
「やっと、あえたね」
さく:こうだ ともゆき
【こうだ ともゆき】プロフィール
1984年大阪生まれ。京都精華大学卒。
個人の編集業などを経て、2016年岡山県真庭市に移住。
著書に『幸せな人持ち人生』(ごま書房新社)がある。