Pochitto(ぽちっト)神戸 | 「 じゅもんをわすれたまほう使い」
更新:2020.3.23
第19回---じゅもんをわすれたまほう使い
ある夜のこと。
まどのそとを見ながら、男の子は言いました。
あるところに、
まほう使いがすんでいました。
とってもすごいま
ほう使いだったのですが。
あるとき、
じゅもんのことばをわすれて、
まほうがつかえなくなってしまいました。
とってもすごいまほうだったのに。
いくら思いだそうとしても、思いだせません。
じゅもんのことばをわすれてから、
なにをやっても、なんだかうまくいきません。
ほかのまほう使いとけんかをしたり、
ともだちに会っても、やさしくしてくれなかったり。
まほう使いのしごともへっていくばかり。
「じゅもんのことばって、なんだっけ?」
くる日も、くる日も、
思いだそうとしていると。
ある日、
とつぜん、じゅもんのことばを思いだしました。
そうだ!
じゅもんのことばは、
「ありがとう」と「ごめんなさい」だ。
このじゅもんのことばさえあれば、
どんなまほうだって、使えるのさ。
まほう使いは、
また、とってもすごいまほう使いになりました。
さく:こうだ ともゆき
【こうだ ともゆき】プロフィール
1984年大阪生まれ。京都精華大学卒。
個人の編集業などを経て、2016年岡山県真庭市に移住。
著書に『幸せな人持ち人生』(ごま書房新社)がある。