Pochitto(ぽちっト)神戸 | 「 ねことねずみ」
更新:2023.5.23
第38回---ねことねずみ
ねことねずみ
ある雨のひ。
ねこは、ずぶぬれの子ねずみをみつけました。
ねこは、おなかがすいていたので、
「たべてしまおう」
そうおもいましたが、なんだか、むねが
もぞもぞします。
うーん。どうしたものか。
ねこは、子ねずみをたべずに、いえに
つれてかえりました。
子ねずみは、ねこのいえで、すこしずつ元気に
なってきました。
そして、どうやら、ねこのことを「おかあさん」だとおもっているようです。
「おかあさん。そとへあそびにいこうよ」
そういわれても、ねこはこまってしまいます。
だって、そとには、ねこの友だちのねこがたくさん。
みんな、きっと「あれれ。ねずみをつれているじゃないか。たべちゃおう」
われさきに、ねずみをたべようとするはずです。
もちろん、子ねずみは、ねこがこわいものだなんて、おもいもしません。
「おかあさん。そとへあそびにいこうよ」
うーん。どうしたものか。
それでも、子ねずみがあんまりいうものだから、
ねこはおもいきって、そとへでることにしました。
すると、おもったとおり、
ねこの友だちのねこがたくさん、ちかづいてきます。
「あれれ。ねずみをつれているじゃないか」
でも、だれも子ねずみをたべようとしません。
ねこはふしぎにおもって、みんなにたずねると
みんなはわらって、いいました。
「きみがつれてる子ねずみをたべるわけないじゃないか」
さく:こうだ ともゆき
【こうだ ともゆき】プロフィール
1984年大阪生まれ。京都精華大学卒。
個人の編集業などを経て、2016年岡山県真庭市に移住。
著書に『幸せな人持ち人生』(ごま書房新社)がある。