Pochitto(ぽちっト)神戸 | 「 あまのじゃくの木 」
更新:2017.7.23
第3回---あまのじゃくの木
言ったことはしてくれない。
親の言うことに、反対したり、抵抗してばかり。
困ったお母さんサルは、森でいちばん大きな木に、相談にいきました。
その木は、森の動物たちから、とても信頼されている、大きな木です。
お母さんサルは、言いました。
「子どもがあまのじゃくなんです」
すると、大きな木は、ほほ笑んで言いました。
「問題ありません。まっすぐ、あまのじゃくでありなさい」
お母さんサルは、びっくりします。
「あまのじゃくがいいなんて。そんなことはありません。なんとかしないと」
大きな木は、ほほ笑んだままです。
「じつは、わたしもとんでもないあまのじゃくでした」
お母さんサルは、またびっくりします。
「ウソでしょう。あなたがあまのじゃくなんて」
「親の言うことに、反対ばかり。木なんだから、
上へ上へのびなさい、とよく言われましたが、
あまのじゃくのわたしは、下へ下へばかりのびていました。
すると、根がどんどん育って、やがて、まわりの木よりも大きく育っていきました」
それ以来、お母さんサルは、あまのじゃくの子ザルを見まもるようになりました。
さく:こうだ ともゆき
【こうだ ともゆき】プロフィール
1984年大阪生まれ。京都精華大学卒。
個人の編集業などを経て、2016年岡山県真庭市に移住。
著書に『幸せな人持ち人生』(ごま書房新社)がある。