Pochitto(ぽちっト)神戸 | 甲北病院 院長のアメリカ留学記
更新:2020.5.23
第12回---甲北病院 院長のアメリカ留学記
全米には143校の医学部がある。アメリカには国立の大学はなく州立か私立のみだが、州立の大学の医学部は地域医療を維持する目的でその州出身の学生しかとらない。日本の地域枠のようなものだがアメリカではこれが徹底している。例外は医学部が全くない4州からの学生で、それらの州からの学生を年に1、2人合格させることがある。反面、私立の医学部は州外の学生もとる。
外国人の私に合格の可能性があったのは私立の医学部のみだった。私は16大学に願書を出した。うち、わずかな可能性にかけて4校は州立であった。結果は、州立の医学部はすべて一次で不合格。私立は、12校中9校で二次書類審査に進み、7大学で最終面談まで残れた。そして、4医学部に合格した。検討の末、ウィスコンシン州の医学部を選んだ。
この医学部合格をバークレーのアドバイザーに報告に行った。どういう答えが返ってくるだろう、と思ったのだ。するとみんな口をそろえて、“Congratulations, good for you!!”だった。
「いや、あんたたち最初に絶対無理、とかやめとけ、とか言ってたやん」ということを(勿論英語で)言うと、「ああ、そうだっけ?でも合格したからいいじゃないか」というあっさりした、軽い回答が返ってきたのだった。
私はミルウォーキーに移住し、4年間で卒業し、医師となったが、この4年間はもう二度とまねできないくらい毎日毎日朝から晩まで勉強漬けだった。私は今年53歳になるが半生を振り返ると自分には大した才能はなく、唯一誇れるのは現在に至るまで地道に物事を続けられる事で、それが結果につながったのだと自負している。
正に「継続は力なり」である。
最後に私の座右の銘を“Quality of a person’s life is in direct proportion to his commitment to excellence, regardless of his chosen field of endeavor”。出典と意味は是非各自で調べていただきたい。
2年間、連載を続けさせていただきました。ぽちっト神戸編集室にはこのような機会をいただき、大変感謝いたします。
今回で一旦筆を置かせていただきますが、またいつか連載をさせていただきたいと思います。
甲北病院院長 近藤幹