Pochitto(ぽちっト)神戸 | ファミリー動物病院コラム
更新:2024.5.23
第13回---ファミリー動物病院コラム
【それ本当に皮膚病?】
飼ってるわんちゃんの毛が段々薄くなってきたり、脱毛の症状が見られるとき、それは皮膚の病気ではなく、ホルモンの病気の可能性もあります。
甲状腺機能低下症とは甲状腺ホルモンが欠乏する病気で、おもに中高齢以上のわんちゃんに多い病気です。甲状腺ホルモンは、基礎代謝や成長、神経機能、心機能、皮膚の健康に重要な役割を果たしています。そのため、不足することで全身にさまざまな症状を引き起こします。
全身の症状としては活動性低下・肥満・多飲多尿、貧血など、神経症状としてはふらつき・顔面神経麻痺・昏睡など、皮膚症状としては体幹部の脱毛・ラットテイル(ネズミのしっぽのように尾の毛がほぼなくなってしまう状態)・繰り返す膿皮症などの皮膚症状・外耳炎・色素沈着などです。
甲状腺機能低下症の原因としては、甲状腺の炎症や萎縮が原因であることがほとんどです。
治療としては甲状腺ホルモンを補充することです。治療開始後、活動性低下は1週間ほどで良くなりますが、高脂血症や貧血の改善には数週間、皮膚症状や神経症状の改善には数カ月かかることもあります。低下した甲状腺の機能が回復することはないため、基本的には一生投薬を続ける必要がありますが、予後は良好です。
甲状腺機能低下症は、適切な治療と継続的なフォローアップによって、症状の改善や生活の質の向上が期待できます。甲状腺機能低下症は有用な予防法がないため、早期発見、早期治療が大切です。「うちのわんこ、なんだか最近元気がない。毛も薄くなってきたし、おしっこの量やお水を飲む量が増えてきたような気がする」といったような、動物が出しているサインに気付いたら、早めに動物病院へご相談ください。
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