Pochitto(ぽちっト)神戸 | チャイルドケモハウス
更新:2020.3.23
第10回---チャイルドケモハウス
【エビデンス】
少しややこしい話ですが、これがわかると、治療方針の意志決定の時や、今回の新型コロナウイルスのような騒ぎの時に、少し冷静になれると思います。
まず、「エビデンス」とは一般的には直訳の「根拠」という意味で使用されているようですが、医学の世界では、「科学的根拠」の事です。
そして、エビデンスにはレベルがあります。通常1~6まであり、1が一番高く、6が一番低いです。エビデンスレベル1は、正確なデータや実験から導き出された見解です。簡単に言うと、誰が何と言おうと正しい事です。エビデンスレベル6は、偉い先生が言っている見解です。
簡単に言うと、ワイドショーにでている偉い先生の個人的見解です。
医療の世界では、昔は偉い先生が「私はこう思う」と言えば、それに従っていたのですが、それではダメだということになり、しっかりと科学的根拠を元に医療をしよう!となりました。そこででてきたのが、「エビデンス」です。
つまり、エビデンスを語るときに、有るとか無いとか言うのではなく、例えば「私は、エビデンスレベル5の情報をもとに、学校は休校にしない方がいいと思います」と言うのが正確です。
エビデンスは、水戸黄門の印籠のように、誰もがひれ伏すものではなく、あくまで判断をするときに使う一つの道具です。
そして、高いエビデンスレベルを証明するには、たくさんのデータ(数)と時間(年単位)が必要です。つまり、現時点では、新型コロナウイルスについては、エビデンスレベルが低い情報しかありません。
その限られたエビデンスレベルの低い情報をもとに、様々な判断がなされています。その情報をもとに、どのように考えるのかが、大切です。きちんとした情報源では、「この情報は○月○日時点のもので、今後更新される可能性があります」と記載があります。情報は時間が経てばアップデートされるのは当然ですが、このような状況の時は、正しい情報を欲しいあまりに、その事を忘れがちです。何事においても100%正しい情報は、ほとんどありません。
だから、思考を停止させずに、できるだけ落ち着きましょう。
「がんになっても笑顔で育つ」をスローガンに活動をしている
チャイルド・ケモ・クリニック院長 楠木重範
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