Pochitto(ぽちっト)神戸 | チャイルドケモハウス
更新:2021.7.23
第18回---チャイルドケモハウス
【年齢を重ねるということ】
今度の期末テストの国語の範囲が森鴎外の「舞姫」だと、高校3年生の長男が少し怒り気味に話していました。
あまりにもひどい話(辛い話という意味)だから、本文を読まずに、問題文だけ読んで答えを書く。もし、舞姫の最後の文章が出てきたら、問題文も読まずに答えも書かない、と言っていました。
受験問題でもないので、父親としては「そういう理由であれば、答えを書かなくてもいいよ」とコメントしました。
以前、国語のテスト問題の本文に感動して何度も読み、涙して答えが書けなかったという小学生がいたことを思い出しました。
<その作品を読んでどう感じたか、という読書感想文が国語のテストの評価になったら面白いのにと思ってしまいました。/p>
改めて、森鴎外の「舞姫」を読みました。
なんとも言えない辛い気持ちにはなりましたが、耐えられない辛さではありませんでした。
おそらくこれは、私が年齢を重ねたからだと思います。
あまりにも辛すぎて目を逸らしてきた課題、たとえば「貧困」や「死」などについて、若い頃よりは冷静に考えられるようになった気がします。
年齢を重ねるということは、それだけ辛い経験をしてきたということです。
または、辛い経験をした人々と関わってきたということです。
目を背けたくなるような辛い経験をしている人々がいるという現実は、間違いなくあります。
そのような現実に、若くして真正面から向き合う人は、きっと色々と苦労をしてきたのでしょう。
「若い時の苦労は買ってでもせよ」という諺がありますが、絶対買いたくない苦労をしている若者もいます。
しかし、普通の若者はその辛い現実から目を背けます。
向き合っている若者は、普通の若者との温度差を感じるでしょうし、支援もしてもらえないでしょう。
年齢を重ねた人々は、目を背けたくなるような現実から目を逸らさず、向き合っている若者を支援していきましょう。それは年齢を重ねたからこそ、できることなのですから。
「がんになっても笑顔で育つ」をスローガンに活動をしている
チャイルド・ケモ・クリニック院長 楠木重範
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