Pochitto(ぽちっト)神戸 | 野次馬々日記
更新:2023.7.23
第8回---野次馬々日記
【野次馬々日記 VOL8】
文楽を観劇してきました。私の住んでいる施設では、年に二回くらいバスツアーを企画していました。コロナ騒動で途絶えて三年余り?久しぶりに掲示板で見つけました。何と「文楽観劇バスツアー」すぐに申し込みました。
当日バスで大阪へ。国立文楽劇場。少し早い到着で、入場には時間があり、資料展示室で「上方浮世絵展」を観て開場を待ちました。
入場してまず座席へ一番前でした。トイレ、売店、その他を探索し確認。私がどこへ行ってもやることです。トイレもすませいよいよ解説「文楽入門」がはじまりました。
大夫(語り)と三味線弾きが登場、一つのセリフを老若男女をそれぞれの声、しかも身分によっても語り分ける大夫にはたくさんの拍手が起こりました。語りは言うもがな、三味線弾きもまた情景や心情を弾き分けるとのことで、単に語りの伴奏だと思っていた私は目が開かれる思いでした。
次は人形遣い。三人で遣うということは知っていても色んな仕掛けについて細かく聞いたのははじめてでとても興味深いものでした。
三十分の解説の後、仮名手本忠臣蔵が始まりました。解説のせいかすぐに文楽の世界に入ることが出来ました。席が一番前ということもり、人形遣いの一つ一つをしっかりと見ることができ面白かったです。そして主遣いと呼ばれる一人だけ素顔の人形遣いがまったく表情を変えないのは感嘆の極みです。その上、他の二人に合図を送り動きを作っていくというのです。例えば左手は左遣いが右手は主遣いが、拍手の時ピッタリ合うのは驚嘆です。そういえば左遣いは差し金というものを使い、さまざまな動き、例えば、小道具をつかんだりすると聞いていたのも目の前で見ることができました。そして今回気づいたことは、一人で遣うツメ人形でした。その他大勢や腰元などは一人で遣っていました。ゾロゾロと退場する場面など一体ずつがそれぞれに仕草を変えてなるほどと思いました。
もらったリーフレットの有栖川有栖さんの文章の一節を紹介します。
「状況の説明、描写とセリフに節がつき、三味線と一体となって語られるのを聞くだけでも面白いのに、見ても楽しめるような舞台で人形劇が演じられるというのは、今でいうと映画。それも「何でもあり、人間の役者にできないことをやる」のですから、弾けたアニメに一番近かったのではないでしょうか(声の比重が高いところは共通しています。)だから肩肘はってお勉強するように観劇する必要はないのです。」