Pochitto(ぽちっト)神戸 | ぽちトピックス(ふれ愛びと)
更新:2020.11.23
第22回---ぽちトピックス(ふれ愛びと)
- Qどうぶつ科学コミュニケーターとは?
- A動物と一口に言ってもいろんな種類がいます。生物学的には虫や魚、クラゲ等々も動物です。そんな多種多様な動物が他の生物や環境と相互に影響を及ぼし合いながら、地球という生態系を維持しています。そこには不思議や驚きがたくさんあります。それらに対する好奇心をフックにして、自然環境や命との付き合い方を一緒に考えていく。そんな職業にしたいと思っています。
- Qなぜこの職業を選んだのですか?
- A難しい質問ですね(笑)。前項でも「そんな職業にしたい」と答えたわけですが、実はどうぶつ科学コミュニケーターという仕事は自分で作りました。ですから、世界に私しかいないはずです。そして日々その在り方を模索しております。では、なぜ作ったか?それは動物園在職中に、来園者に動物の魅力を伝える仕事のやりがいと難しさを感じたからです。可愛いとか動物を愛でる気持ちも大切にしたいのですが、特に動物園で扱っているのはペットではなく野生動物なんですね。だから、可愛いとかだけで終わっていいのかと悩んでいました。そんなとき、科学コミュニケーター(以下、SC)という科学と人々をつなぐ仕事を知りました。しかしながら、実は動物学分野のSCというのは前例がなかったのです。そこで、動物園で学んだ事、科学館で学んだ事を試行錯誤しながら融合させて自分でどうぶつ科学コミュニケーターという職を作ろうと思ったわけです。そうこうしていたら、科学館退職後は学生時代を過ごした古巣の京都大学で動物学と科学コミュニケーションの教員をやらないかと声がかかりました。人と運だけには恵まれているなと思っております。というわけで、動物園、科学館、大学での経験を活かして、どうぶつ科学コミュニケーターをしながら、より良いどうぶつ科学コミュニケーター像を模索しています。
- Qどのような活動を行っていますか?
- A (1)執筆監修活動、(2)メディア出演監修、(3)教室開催の大きく三つです。
(1)は児童書を中心、生き物を中心としたもので関わった書籍は20を超えています。最近では、地球儀などの教材の監修制作にも関わりはじめました。Webメディアで「よみタイ」で「動物ふしぎ観察記」というウェブ連載もさせていただいております。
(2)ですが、テレビ等のメディアへの監修や出演も増えてきています。最近では、中居正広さんと共演させていただいたのが良い経験になりました。また関東ローカルですが、動物番組を毎週監修させていただいています。
(3)は、幼稚園などの組織あるいは個人からご依頼を受けて展開するものです。様々な生き物を連れてゆく移動動物園、野外で行う自然観察会がメインです。さらに、生物系に絡めた実験教室、工作教室なども展開しています。また、大学や専門学校、小学校などでの授業もお受けしています。
そのほか専門家として科学館などの展示物制作や、政治家からのご依頼で動物園の政務調査の委託を受けるなど、多岐にわたる活動を展開しています。詳しくは、ホームページをご覧ください。いずれにしても、まずは動物や自然に興味を持っていただくこと、科学的な捉え方を知ってもらうことを目的としています。 - Q読者に向けて一言
- Aみなさんは動物が好きですか?世の中には好きな人も嫌いな人も、はたまたどちらでもない人もいると思います。しかし、個人がどう思うかは別として、地球の生態系、つまり地球環境を持続させるシステムは動物含め生き物たちが担っているのです。そして私たちも生き物であり動物です。多くの生き物がせめぎ合ったり協力しあったりしながら、たったひとつしかない地球を維持していること。私たちもその大切なピースなんだということ。科学技術を手に入れ、他の生き物への影響力がとてつもなく大きいということ。私との科学コミュニケーションでは、そんなことに改めて思いをはせてほしいなと思っております。
幼稚園にて生き物の観察会。
幼稚園における講演会。
NHK『ダーウィンが来た!』出演解説の仕事でタイへ。※写真のミズオオトカゲは保護動物です。タイ王国の許可なく捕獲等できません。
ワニのひそむシンガポールの自然保護区を息子と行く。
新婚旅行は、コモドドラゴンに会いにコモド島へ。※コモドドラゴン(コモドオオトカゲ)は保護動物ですので触ってはいけません。遠近法で撮影しているだけで触っていません。
マレーシアの急峻すぎる山を梯子でのぼる。
仕事でイラストも描いています。