Pochitto(ぽちっト)神戸 | 神戸大学コラム
更新:2021.7.23
第21回---神戸大学コラム
【イワテヤマナシを絶滅から守ろう】
日本原産のナシをご存じですか?東北地方には古くからイワテヤマナシ(ヤマナシ)という野生のナシが分布しています。二十世紀や幸水と比べサイズは大変小さく酸味が強いのですが、一度嗅いだら忘れられないフルーティーな香りが一番の特徴です。
食資源教育研究センターの片山寛則准教授の研究がきっかけとなり、二〇〇七年にイワテヤマナシは環境省レッドリストの絶滅危惧種に指定されました。イワテヤマナシが大変少なくなっていることに危機感を覚えた片山准教授は、各地の野生ヤマナシを探索・収集しセンター内で接ぎ木保存する活動を続けてきました。絶滅を防ぐにはイワテヤマナシの特性を評価し活用することが重要と考え、神戸市灘区の樽正本店と共同してとびきり芳醇な香りのシロップを完成させたのです。素材の良さを最大限に引き出したシロップは、兵庫県特産品「五つ星ひょうご」にも選定されています。
本来は自然に自生しているイワテヤマナシですが、その保全を進めるには人の手による栽培と活用が有効です。センターでの栽培では生産量にも限界があることから、丹波篠山市の真南条営農組合と協同して50本ほどのヤマナシを栽培しています。試行錯誤の末、昨年ようやくジャムを試作できる程度にまで生育しました。
現在はヤマナシを活用した製品開発やイベントの開催を目標に活動しています。
岩手県九戸村に自生するイワテヤマナシ(天然記念物)
樽正本店(神戸市灘区)と共同開発したジャム
神戸大学総務部広報課