Pochitto(ぽちっト)神戸 | 神戸大学コラム
更新:2021.9.23
第22回---神戸大学コラム
【ふね遺産「進徳丸」】
2021年7月、大学院海事科学研究科の前身である神戸高等商船学校の練習船「進徳丸」が、ふね遺産に認定されました。
ふね遺産とは、歴史的で学術的・技術的に価値のある船舟類およびその関連設備を「ふね遺産」(Ship Heritage)として認定し、社会に周知し、文化的遺産として次世代に伝えることを目的とする活動です。この認定制度は日本船舶海洋工学会により2007年から始まりました。
ふね遺産第38号に認定された進徳丸は、1923年12月に進水し、帆船練習船として約21年、汽船練習船として約16年、計1万人以上の船員を養成しました。その総航程は98万キロメートル(地球約 24・5周)にのぼります。船名の「進徳」は、進水の年に発生した関東大震災に際して発布された国民精神作興に関する詔書中にある「知徳併進」の一節からとったもので、海に学ぶ若人たちに対して徳育の必要性を特に強調し、その成果を期待するためだったとされています。
このたびのふね遺産登録・認定を記念して、また、進徳丸という練習船がこの世に存在したことの証として、神戸大学深江キャンパスにある海事博物館では特別展を開催しています。日本史上最大(全長109・1メートル)のバーカンティン型練習帆船、のちに汽船練習船「進徳丸」の在りし日の勇姿をご覧いただくとともに、関東大震災の3ヶ月後に進水し、戦禍を経て、阪神・淡路大震災で船体一部が崩壊し修復不能となって終わるという波乱に満ちたその生涯を数々の展示で辿ることができます。
海事博物館は毎週金曜日13時30分から16時まで開館しています。どなたでも無料でご覧いただけますので、近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください。(事前予約が必要です)
神戸大学総務部広報課