Pochitto(ぽちっト)神戸 | 神戸大学コラム
更新:2024.3.23
第37回---神戸大学コラム
【酒粕飼料による国産鶏肉の食味向上効果を確認!】
神戸大学の様々な魅力をお伝えする「神戸大学コラム」。第37回のテーマは、「酒粕飼料による国産鶏肉の食味向上効果を確認!」です。今回は神戸大学と白鶴酒造株式会社の共同研究をご紹介します。
国産鶏の飼料の主な原料(トウモロコシや大豆粕など)は輸入に依存しているのが現状です。しかし、輸入飼料は海外情勢や原油価格、円安など多くの価格変動リスクを持ち、また、輸送時のCO 排出による地球温暖化の促進が懸念されています。食料の安定供給だけではなく、環境保全の面からも、飼料の国産化は重要な課題となっています。
一方、日本酒の副産物である酒粕は、粕汁や漬物など食用として活用されていますが、形状などが食用に適さないものも発生することから、新たな活用法が模索されてきました。 神戸大学と白鶴酒造株式会社は、2021年4月から、鶏用飼料としての酒粕利用法について共同研究を開始し、酒粕を飼料化することで飼料を輸入する際に生じるCO の削減にも取り組んできました。
共同研究において、そのままでは水分量が多く、鶏の飼料に配合することが困難な酒粕を、種々の乾燥方法で乾燥・破砕し、玄米と共に肉用鶏に3週間給餌して、成長と鶏肉の食味に及ぼす影響を調べたところ、トウモロコシ大豆粕飼料に比べ、成長に悪影響を及ぼさず、鶏肉の食味が向上されることを明らかにしました。
引き続き玄米酒粕飼料の実用化に向けた試験を重ねて、今後最適な給餌方法が確立されれば、地産地消のフードチェーンの構築や、地域ブランド畜産物の開発などにつながっていくと期待されます。
神戸大学で玄米酒粕飼料を与えている様子
神戸大学総務部広報課