Pochitto(ぽちっト)神戸 | 神戸大学コラム
更新:2024.9.23
第40回---神戸大学コラム
【運動時の脂肪の燃えやすさを決めるタンパク質を発見!】
神戸大学の様々な魅力をお伝えする「神戸大学コラム」。第40回のテーマは「運動時の脂肪の燃えやすさを決めるタンパク質を発見!」です。今回は医学研究科の小川渉教授らによる研究をご紹介します。
運動をすると筋肉が多くのエネルギーを消費するため、脂肪がエネルギー源として燃やされ、体重が減少します。この時、筋肉ではエネルギー消費を増やすいくつもの遺伝子の発現(タンパク質の生成)が行われます。PGC-1αというタンパク質はこのような遺伝子の発現を促す作用を持つため、痩せやすさ・太りやすさと関係する可能性が指摘されていました。しかし、これまでの実験では有意な検証結果がなく、仮説には疑問が投げかけられていました。そのような中、小川教授らは、従来のPGC-1αとは異なる新しいPGC-1αを発見し、実験においてその新しいタンパク質が運動時のエネルギー消費に影響していることを発見しました。
同じだけ運動を行っても痩せやすい人と痩せにくい人がおり、そのメカニズムはよくわかっていませんでしたが、この新しいタンパク質の増えやすさによって、運動時のエネルギー消費の個人差を説明することができます。
最近では、食欲を抑制してエネルギーの摂取を減らす肥満症治療薬が開発され、世界で広く使われ始めていますが、エネルギーの消費を高めて肥満を治療する薬剤はありません。新しいPGC-1αを増やせる、物質を見つければ運動時のエネルギー消費をより高める薬(運動効果増強薬)、さらには運動しなくても、運動時と同様にエネルギー消費を強める薬(運動効果模倣薬)の開発に繋がる可能性があります。
運動すると体重が減るメカニズム
神戸大学総務部広報課