Pochitto(ぽちっト)神戸 | どうぶつ科学コミュニケーター通信
更新:2020.11.23
第11回---猪突猛進のお話
みなさん、こんにちは!11月になりました。兵庫県では11月15日~翌年3月15日までイノシシ猟解禁となっています。そう、牡丹鍋の美味しい時期になってきました。
さて、イノシシというと猪突猛進のイメージがあります。事典を引いてみると、「目標に対して、向こう見ずに突き進むこと。いのししの突進するのにたとえていう。」とあります。確かにイノシシの突進による突破力はすごいです。頑丈な鼻が前方に突き出していますので、多少の藪や木の枝くらいならば鼻から突進、突破してゆくことができます。特に猟師や猟犬に追われるなど危急的な状況では、突破できる障害物は突破して突き進んでゆくようです。要は人と遭遇したときによく見せるこの様子が由来なのかもしれません。ただし、向こう見ずではなくて、突破できるか否かは判断しています。突破できないものがあれば、前脚で踏ん張って急ブレーキをかけ止まれますし、そこから方向転換、Uターンさえ可能です。走りながら曲がることもできて、ライダーがバイクのハンドルを切らずに重心移動で曲がるように曲がれます。
さて、もうひとつ面白い話があります。かかとの関節に距骨という骨があります。人間ではくるぶしの内側にある骨で、人間であれば構造上、足首を回すことができます。ところが、イノシシは距骨(きょこつ)の構造上、前後にしか動かせません。イノシシを含む偶蹄類(ぐうているい)(ウシ、ラクダなど)はみな同じ構造です。これによって速く走れるとされていますが、実はこの構造!クジラの祖先にもあることがわかりました!そう、クジラと偶蹄類は親戚だったのです。その詳しい話は次回!
①イノシシの頭骨。左から幼獣(メス)、成獣(メス)、成獣(オス、2~3才)、成獣(オス、推定4才)。
②推定4才のオスで頭長およそ30cm。抱えているぶっちーの身長は181cm。
どうぶつ科学コミュニケーター / 大渕 希郷(おおぶちまさと)
上野動物園・飼育展示スタッフ、日本科学未来館・科学コミュニケーター、京都大学野生動物研究センター・特定助教を経て、現在フリーランス活動中。
動物から植物、昆虫、微生物まで様々な生きものを用いた科学教室をご要望に合わせて企画いたします。その他、ペットボトルを用いた顕微鏡作り、偏光板を使ったサイエンスアート教室など工作教室や、各種講話、科学コミュニケーション研修、展示デザインなども承ります。
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