Pochitto(ぽちっト)神戸 | どうぶつ科学コミュニケーター通信
更新:2022.1.23
第18回---トラ模様の意。
あけましておめでとうございます!寅年ですね!
トラと言えば、トラ模様。動物園などでトラを見ていると、美しいその模様は目立つように思えます。しかし、密林に暮らすトラのあの模様は、茂みの中に入るとカムフラージュとなるのです。カムフラージュの極意は、体の輪郭をぼやかしてしまうこと。つまり、どこまでがトラの体で、どこからが草なのか分からなくしてしまえばいいのです。あの模様にはそんな役割があります。
さて、ここでひとつの疑問が浮かびます。そんなに隠れるのがうまいと、仲間を探すときに苦労しないか?と。トラは単独生活を行う動物です。とはいえ、繁殖の際はペアを探さないといけませんし、子育ての際は親子で連れ立って生活せねばなりません。そういったときはどうするのか?実は、またまたあの模様が役に立つのです。正確に言うと、あのトラ模様の中に秘密の模様が紛れています。
トラの頭をよーく見てみてください。耳の裏側に白い模様があることに気づきませんか?これは、虎耳状斑と呼ばれるもので、子どもが後からついてくるときの目印や、後方への威嚇の役割があると考えられています。実は、この虎耳状斑、イエネコにはありませんが、野生のネコ科動物にはあります。群れで暮らすライオンの場合、狩りのときのコミュニケーションに役立っている可能性もあります。いろんなネコ科動物で見られる模様なので、ぜひ探してみてください。今年も動物の話をたくさんお届けしてゆくのでどうぞよろしくお願いいたします!
左:スナドリネコ、右:ヒョウ。虎耳状斑がある。
耳の裏側にある白い模様が虎耳状斑。
どうぶつ科学コミュニケーター / 大渕 希郷(おおぶちまさと)
上野動物園・飼育展示スタッフ、日本科学未来館・科学コミュニケーター、京都大学野生動物研究センター・特定助教を経て、現在フリーランス活動中。
動物から植物、昆虫、微生物まで様々な生きものを用いた科学教室をご要望に合わせて企画いたします。その他、ペットボトルを用いた顕微鏡作り、偏光板を使ったサイエンスアート教室など工作教室や、各種講話、科学コミュニケーション研修、展示デザインなども承ります。
詳しくは下記まで。
お問い合わせ:masato_ohb@yahoo.ne.jp