Pochitto(ぽちっト)神戸 | どうぶつ科学コミュニケーター通信
更新:2024.1.23
第30回---龍のお話。
あけましておめでとうございます!2024年は辰年。十二支の中で唯一、想像上の生き物、龍。しかし、龍は実在した可能性が…!?
まずここでいう龍とは火をふく西洋のドラゴンではなく、 東洋の龍です。ヘビのような細長い体、鹿のような角、ヒゲを生やした顔。そう、ドラゴンボールの神龍(シェンロン)のような姿。この龍の正体が、今はもう絶滅してしまったワニ、マチカネワニではないかという説があるのです。マチカネワニは全長7mにもなる大型のワニで、日本では30~50万年前に生息していました。大阪の待兼山(まちかねやま)から見つかったので、マチカネワニと名付けられました。
このマチカネワニが殷の時代まで中国北部の都市部にも実在しており、龍と呼ばれていた可能性があります。その後、周の時代の寒冷期に中国北部では絶滅し、さらにその後の気温上昇でふたたび南からワニが北上してきたときには、蛟(コウ)と呼ばれるようになった。つまり、龍はもともとワニのことだったが寒冷期でワニが不在の間に、龍がワニとは別の想像上の生き物を指す言葉になった。そして、皆さんが思い描く龍の姿になったのではないかというお話です。
面白いのは、ワニと龍の符合!龍と言えば逆鱗(げきりん)。龍の喉元にある、逆鱗にふれると龍が怒り狂う。転じて目上の人の怒りを買う行為を「逆鱗に触れる」と言うようになりました。そしてなんと実はワニの喉元には、興奮した際に現れる臭腺があるのです!きっとこれが逆鱗の元なのではないのでしょうか。ちなみにワニの目の後ろには隆起した部分があり、これが龍の角にも見えなくはないと思うのですが、皆さんはどう思いますか?
↑マチカネワニの実物大骨格レプリカ
↑ワニの目の後ろには盛り上がった部分がある。もしかして龍の角の元?
どうぶつ科学コミュニケーター / 大渕 希郷(おおぶちまさと)
上野動物園・飼育展示スタッフ、日本科学未来館・科学コミュニケーター、京都大学野生動物研究センター・特定助教を経て、現在フリーランス活動中。
動物から植物、昆虫、微生物まで様々な生きものを用いた科学教室をご要望に合わせて企画いたします。その他、ペットボトルを用いた顕微鏡作り、偏光板を使ったサイエンスアート教室など工作教室や、各種講話、科学コミュニケーション研修、展示デザインなども承ります。
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