Pochitto(ぽちっト)神戸 | どうぶつ科学コミュニケーター通信
更新:2021.5.23
第14回---サメが教えてくれる歯の起源。
みなさん、こんにちは!ぶっちーは、先日、歯科健診に行ってきました。自慢ではないのですが、歯は健康でよくほめられます。
さて、この大切な歯なのですが、起源をさぐると実はサメの仲間まで行き着きます。いま地球上にいる脊椎動物(背骨をもつ動物)の中ではサメやエイの仲間が顎を持つ一番古い仲間です。複数あるエラのうち一番前のエラを支える骨が進化して、顎になったのです。
そして、彼らは歯も持っています。歯はどうやってできたのか?というと、もとはサメ肌だと考えられています。サメ肌を拡大してみると、形は違えども、エナメル質や象牙質などからなり、歯と同じ構造をしているのです。これを皮歯とも呼ぶくらいです。体を覆っていた皮歯のうち、顎ができたときに口のまわりの皮歯が大きくなりました。それが顎の骨に定着したものが歯の起源と考えられています。
ちなみに、サメの歯が何度も生え変わるというのは割と有名ですが、実は魚類や両生類、爬虫類は何度でも歯が生えます。鳥類は歯がありません。哺乳類は種類によりけりで、ヒトは1回、ゾウなら5回、ウサギやイルカのように生え変わらないものもいます。しかし、爬虫類までと大きく異なるのは、哺乳類はいろんな歯を持つことが多いということです。自分の歯を観察してみましょう。前歯、奥歯、犬歯…形と役割の異なる歯を持っています。爬虫類までは例外はあるものの、基本的に同じ形の歯しか持っていません。人間は医療が発達しているとはいえ、1回しか生え変わらない上に歯によってその役割が違う動物ですから、歯は特に大事したいものですね!
①サメの歯は、いま使っている歯の内側に、新しい歯が次々と用意されています。
②左は歯がたくさんあるサメの顎。右はザラザラしたサメ肌でつくられたワサビおろし。
どうぶつ科学コミュニケーター / 大渕 希郷(おおぶちまさと)
上野動物園・飼育展示スタッフ、日本科学未来館・科学コミュニケーター、京都大学野生動物研究センター・特定助教を経て、現在フリーランス活動中。
動物から植物、昆虫、微生物まで様々な生きものを用いた科学教室をご要望に合わせて企画いたします。その他、ペットボトルを用いた顕微鏡作り、偏光板を使ったサイエンスアート教室など工作教室や、各種講話、科学コミュニケーション研修、展示デザインなども承ります。
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