Pochitto(ぽちっト)神戸 | どうぶつ科学コミュニケーター通信
更新:2025.5.23
第38回---最終回はヒトの思いやり
2019年から38回続いた、「どうぶつ科学コミュニケーター通信」も最終回となりました。6年間、ご愛読いただきありがとうございました!
最後はヒトについてです。ヒトも動物で、哺乳類のサルと同じ霊長類と呼ばれる仲間の1種です。では、我々はどんな特徴を持った動物なのでしょう?そう聞かれると「言語を使う」「道具をつくる、使う」等々、いろいろ思い浮かぶと思います。しかし、これらの特徴は程度の差こそあれ、他の動物でも見られる事がわかってきました。ではヒトだけの、というより、ヒトが最も長けている特徴は?というと、それは想像力です。ヒトは、今ここにない事を想像できます。例えば、友達が遠くへ引っ越したとします。年月が流れ、ふと、「新しい場所でも元気かな?」と想像します。今、目の前にいないのに、何年も経っているのに、ヒトの想像力は時間と空間を超えて他者を思いやれるのです。もちろん、家族や群の仲間を思いやる動物はたくさんいます。しかし、今ここにいない仲間に対して、時間まで超えて思いやる動物はそうはいません。
さらに、もっと遠い場所の遠い未来や遠い過去の事までも想像できます。恐竜はなぜ絶滅した?宇宙の始まりは?太陽はいつまで輝く?そんなことに思いをはせる動物はヒト以外にいません。時間と空間を超えて、誰かや何かを想像し、他者の気持ちを思いやり、共感し、希望を持ったり、ときには絶望したりもしながら複雑な社会を成り立たせている動物、それがヒトなのではないかと私は思います。
読者の皆さんにはお会いした事はほぼありませんでしたがどんな気持ちで読んでくださっているのか?私の記事は何かの役に立ったりしているだろうか?といつも考えていました。最終回も誰かの心に残る事を期待して、ありがとうございました!

↑息子らと。みなさんは誰希望を持ちますかを何を想って?
どうぶつ科学コミュニケーター / 大渕 希郷(おおぶちまさと)
上野動物園・飼育展示スタッフ、日本科学未来館・科学コミュニケーター、京都大学野生動物研究センター・特定助教を経て、現在フリーランス活動中。
動物から植物、昆虫、微生物まで様々な生きものを用いた科学教室をご要望に合わせて企画いたします。その他、ペットボトルを用いた顕微鏡作り、偏光板を使ったサイエンスアート教室など工作教室や、各種講話、科学コミュニケーション研修、展示デザインなども承ります。
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お問い合わせ:masato_ohb@yahoo.ne.jp