Pochitto(ぽちっト)神戸 | どうぶつ科学コミュニケーター通信
更新:2023.11.23
第29回---文鳥のひみつ。
今日は文鳥のお話。飼っておられる方も多いのではないでしょうか。ペットショップでもよく見かける小鳥です。しかし、その知名度とは裏腹によく知られていない面もあります。まず、そもそもどこの国の鳥なのでしょう?和風な名前なので日本の鳥だと思っている方もおられるようですが、違います。彼らはインドネシア原産。英名もJava sparrowで〝ジャワ島のスズメ〟という意味です。しかも、そのインドネシアでは絶滅危惧種!数を減らしています。ワシントン条約でも守られていて、国際的な商取引には制約があります。なお、日本には江戸時代はじめに伝来したとされ、以来ずっと愛玩動物として飼育されてきた歴史があります。
さて、ペットショップでは見かけるが実は絶滅危惧種という動物は、他にもゴールデンハムスターやウーパールーパーなどが挙げられます。しかし、彼らと違って文鳥にはさらに外来種としての一面もあるのです。実は中国、タイ、インド、オーストラリア、ハワイなどなど世界各国で外来種として定着していて、日本でも東京、大阪、兵庫で繁殖した記録があります。さらに宮城、新潟、神奈川、京都、滋賀、奈良、三重、和歌山にも生息。東京では70年代には見られたそうですが、90年代には見られくなり定着はしなかったようです。飼うときは最期まで責任をもって飼育したいものです。
絶滅危惧種であり外来種でもある、江戸時代から愛される文鳥。機会があればじっくり観察してみてください。
↑よくなついた文鳥は手乗りになる。
↑私の肩に乗る白文鳥と桜文鳥。白文鳥は日本で誕生した品種。
どうぶつ科学コミュニケーター / 大渕 希郷(おおぶちまさと)
上野動物園・飼育展示スタッフ、日本科学未来館・科学コミュニケーター、京都大学野生動物研究センター・特定助教を経て、現在フリーランス活動中。
動物から植物、昆虫、微生物まで様々な生きものを用いた科学教室をご要望に合わせて企画いたします。その他、ペットボトルを用いた顕微鏡作り、偏光板を使ったサイエンスアート教室など工作教室や、各種講話、科学コミュニケーション研修、展示デザインなども承ります。
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