Pochitto(ぽちっト)神戸 | どうぶつ科学コミュニケーター通信
更新:2020.1.23
第6回---新スマスイのこと、野生のシャチのこと。
こんにちは!ぶっちーです。筆を執っている今(12月)、須磨海浜水族園(以下、スマスイ)のリニューアルが話題です。主に取りざたされているのは入園料ですが、私は導入予定のシャチについてお話します。
シャチは英語でKiller Whale。クジラも襲って食べます。史上最大の動物シロナガスクジラも例外ではありません。彼らは高いコミュニケーション能力で、家族で作戦を立て、上から押さえつけるなどしてクジラを窒息させます。南極では、巨大な氷塊の上にいるアザラシに、シャチたちが並んで泳いで起こした波の力で、氷塊を割ってアザラシを振り落とします。このような高度な連携は、たとえ人間にも難しいことです。また、シャチは閉経後も長生きする極めて珍しい野生動物です。年を経て経験豊かなものを家族で守り、家族にいてもらうことで家族全体が生き延びやすくなると考えられています。まさに?おばあちゃんの知恵袋"です。
このようにシャチは家族から生き方を学ぶことで一人前になります。大海原で知恵を絞っておこなう狩りも成長には必要でしょう。そのような動物を狩りもできず、単独や少ない頭数で飼育することは心身の健康上、難があるかもしれません。海外では飼育に関する規制もはじまりつつあります。お世話になった故・千石正一先生(わくわく動物ランドなどに出演)の受け売りですが、飼いたい動物と飼える動物は違うのです。本当に飼えるのか?そうだとして、飼って何を伝えたいのか?もう一度、市民と共に考えてみてはと思います。
幼少期から通ったスマスイに、いまは息子と通う。
北海道羅臼へシャチ調査に行ったぶっちー。
ぶっちー調査員を見つめる野生のシャチ。(撮影:山本友紀子)
野生では主に家族と暮らす。北海道羅臼にてぶっちー撮影。
どうぶつ科学コミュニケーター / 大渕 希郷(おおぶちまさと)
上野動物園・飼育展示スタッフ、日本科学未来館・科学コミュニケーター、京都大学野生動物研究センター・特定助教を経て、現在フリーランス活動中。
動物から植物、昆虫、微生物まで様々な生きものを用いた科学教室をご要望に合わせて企画いたします。その他、ペットボトルを用いた顕微鏡作り、偏光板を使ったサイエンスアート教室など工作教室や、各種講話、科学コミュニケーション研修、展示デザインなども承ります。
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