Pochitto(ぽちっト)神戸 | どうぶつ科学コミュニケーター通信
更新:2021.1.23
第12回---丑年とクジラ。
あけましておめでとうございます!丑年初回の今回は、ウシとクジラのお話です。ウシは偶蹄目(ウシ目)に分類されてきました。中指と薬指の、2本の指が蹄になっており、蹄の数が偶数なので偶蹄目といいます。偶蹄目は、ラクダ、アルパカ、イノシシ、ブタ、シカ、トナカイ、キリン、ウシ、バイソン、ヤギ、ヒツジ、ガゼル、カバなどなど非常に多種多様な動物をふくむ巨大なグループです。対してクジラが属するクジラ目は、肉食で歯があるハクジラ類とプランクトンや小魚などを濾しとって食べるヒゲクジラ類に大別されます。ハクジラ類のうち大型のものがクジラ、小型のものがイルカです。
実は、この偶蹄目とクジラ目が親戚とわかり鯨偶蹄目と呼ばれています。彼らには、足首の関節にある距骨という骨に共通点があるのです。偶蹄類の距骨は、上下が滑車のような形なので、二重滑車構造と呼ばれています。それぞれ脛と足の骨につながっていますが、この構造のため足首は前後にしか曲げれません。後ろ脚があったクジラの祖先の化石を調べると同じ二重滑車構造だったのです!また、ウシには4つの胃がありますが(イノシシを除く偶蹄類は複数の胃を持つ)、クジラ類にも胃が複数あります。偶蹄類の中で、クジラ類に最も近いカバと比較すると胃以外にも「水中で育児をする」「ほとんど毛がない」「水中で声を使ってコミュニケーションをとる」などの共通点があります。
生き物の形や行動、暮らし、遺伝子などを比べてみると、誰と誰が親戚で、どんなふうに進化してきたのか、そのとき地球環境に何が起こったのかが見えてきます。遺伝子以外はご家庭でも調べて比較できると思いますので、いろんな生き物を観察してみてください!きっと発見があるはず!今年もよろしくお願いいたします。
①マレーシアで遭遇したヒゲイノシシ。矢印部分が人間でいうところの足首で、距骨が入っています。
②ニホンイノシシの距骨。矢印のように上下が滑車のようになっているため、足首は滑車の溝の方向、つまり前後にしか曲げられません。
どうぶつ科学コミュニケーター / 大渕 希郷(おおぶちまさと)
上野動物園・飼育展示スタッフ、日本科学未来館・科学コミュニケーター、京都大学野生動物研究センター・特定助教を経て、現在フリーランス活動中。
動物から植物、昆虫、微生物まで様々な生きものを用いた科学教室をご要望に合わせて企画いたします。その他、ペットボトルを用いた顕微鏡作り、偏光板を使ったサイエンスアート教室など工作教室や、各種講話、科学コミュニケーション研修、展示デザインなども承ります。
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