Pochitto(ぽちっト)神戸 | どうぶつ科学コミュニケーター通信
更新:2021.9.23
第16回---ザリガニとオクリカンキリ。
みなさん、こんにちは!
先日、ザリガニ釣りを通じた生き物教室を開催させていただきました。ここでいうザリガニとはアメリカザリガニ、つまり外来種。なので採集したザリガニは、我が家の動物たちの餌料として利活用することにしました。アメリカザリガニは、大正時代に食用としてアメリカから持ち込まれたウシガエルの餌料として、昭和のはじめに日本に持ち込まれました。なんとウシガエルのエサだったのですね!現在、ウシガエルは特定外来生物として指定され、生きたままでの移動などは違法行為となってしまいます。アメリカザリガニは緊急対策外来種、つまり「対策の緊急性が高く、 積極的に防除を行う必要がある外来種」とされています。そのため、私は採集することがあれば餌料として利活用するか、教育用に最期まで飼うことにしています。
今回、餌料にしたザリガニの体内からオクリカンキリと呼ばれ、薬として重宝されてきたものがとれました!(写真)これは、生物学的には胃石と呼ばれるもので、カルシウムの塊です。甲殻類は脱皮をするときは自らの殻を柔らかくする必要があるので、脱皮前に胃の中にカルシウムを蓄積するわけです。脱皮が終ると、胃石を溶かして再び殻を硬くしてゆきます。なので、オクリカンキリは脱皮前しか採取できないわけですね。昔は、万能薬とされていたとか。近年は、ザリガニ料理を提供するお店もあるので、機会があって、もしよければ食べながら探してみてください!
①ザリガニの胃には1対の傘状の胃石が形成されます。
②向かって右がオス、左がメスのアメリカザリガニ
どうぶつ科学コミュニケーター / 大渕 希郷(おおぶちまさと)
上野動物園・飼育展示スタッフ、日本科学未来館・科学コミュニケーター、京都大学野生動物研究センター・特定助教を経て、現在フリーランス活動中。
動物から植物、昆虫、微生物まで様々な生きものを用いた科学教室をご要望に合わせて企画いたします。その他、ペットボトルを用いた顕微鏡作り、偏光板を使ったサイエンスアート教室など工作教室や、各種講話、科学コミュニケーション研修、展示デザインなども承ります。
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