Pochitto(ぽちっト)神戸 | どうぶつ科学コミュニケーター通信
更新:2021.3.23
第13回---ダンゴムシの迷路。
みなさん、こんにちは!3月になりました。啓蟄(けいちつ)、つまり春の陽気に誘われて、土の中の虫たちが動き出すころです。
そんな虫たちにはじまり、いろんな生き物がにぎやかになってゆく時期です。今日はそんな虫たちの中でも、もっとも身近に見かけるであろう、ダンゴムシのお話。ただし、ダンゴムシは昆虫ではなく等脚類(とうきゃくるい)という脚が14本ある仲間。日本には何種類か生息していますが、都市部ふくめ人家周辺で最も見かけるのはオカダンゴムシでしょう。ご自宅の庭先などでもウロウロしているのではないでしょうか。さて、オカダンゴムシに限らずダンゴムシの仲間たちには変わった習性があります。厚紙などで作った迷路にダンゴムシを放すと、ほぼ確実に左右交互に曲がっていきます。最初に、右に曲がれば、次は左、その次は右…といった具合です。
この習性は、交替性転向反応(こうたいせいてんこうはんのう)と呼ばれています。なぜそんな反応をするのかというと、例えば、右に曲がって、右に曲がって、右に曲がって、右に曲がると同じところに戻ってきてしまいます。なるたけ交互に曲がった方が、より広い範囲を、より遠くまでいけます。ですから、敵から逃げるとき、異性を探すとき、エサを探すとき、その方が有利なのではないという説です。あくまでも仮説です。
厚紙なども良いですが、オモチャのブロックを使うと、いろんな形の迷路を組んだり、組みなおしたりもできます。ぜひ試して、交互に曲がる理由を探ってみてください。
①庭先で見つけた大きなオカダンゴムシ。このように背中に模様があるものもいます。
②厚紙で作ったダンゴムシ迷路。左下のスタートにある仕掛けがあって、ほぼゴールできます。
どうぶつ科学コミュニケーター / 大渕 希郷(おおぶちまさと)
上野動物園・飼育展示スタッフ、日本科学未来館・科学コミュニケーター、京都大学野生動物研究センター・特定助教を経て、現在フリーランス活動中。
動物から植物、昆虫、微生物まで様々な生きものを用いた科学教室をご要望に合わせて企画いたします。その他、ペットボトルを用いた顕微鏡作り、偏光板を使ったサイエンスアート教室など工作教室や、各種講話、科学コミュニケーション研修、展示デザインなども承ります。
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