Pochitto(ぽちっト)神戸 | わたしの常識はあなたの非常識
更新:2021.5.23
第19回---わたしの常識はあなたの非常識
【 前を向いて歩こう 】
一般的には「前を向いて歩こう」とは「人生を前向きに過ごしましょう」という意味でとらえられています。しかし、ろう者(聴覚障害者)の方に「前を向いて歩こう」という書きことばのメモを見せた時、言葉通りに、「実際に前を向きながら歩くこと」と考える人が多いと思います。コロナ禍による影響が残る今こそ、人生を前向きに考えて過ごしていきたいと私も考えています。でも、聞こえないろう者が字面(じづら)通りにとらえることが多いのは仕方がない面もあると思います。
先日、神戸市内の 歳代のろう者(聴覚障害者)から「家族に『ATMで通帳記帳してきて。』と言われたので、銀行のATMコーナーに行ったのだが、通帳記帳というボタンがなかったので何もせずに帰宅した。」というお話を聞きました。私がその銀行に行き、ATMを見たところ、『通帳記入』というボタンはあったのですが、『通帳記帳』というボタンはありませんでした。健聴者の皆さんだったら、『通帳記帳』と『通帳記入』は同じ意味だろうな、と感じるかもしれませんが、そのろう者の方は「帳」と「入」の1文字が違うので違う意味ととらえたのですね。
他には、ある会社の人事担当者から「始業時間に『遅刻することはだめです』とメモで渡しても、次の日も遅刻するろう者に対してどうしたら良いでしょうか。」と相談を受けたことがあります。私は、『遅れることはだめです』と書いたメモを渡すことを提案し、解決しました。
皆さんも、自分自身がわかるだけではなく、ろう者(聴覚障害者)にも伝わるような情報の伝え方を工夫しながら、共に「前を向いて歩こう」という気持ちで過ごしていきませんか?
次回は「ロウフウフって何?」に続きます。
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