Pochitto(ぽちっト)神戸 | わたしの常識はあなたの非常識
更新:2019.7.23
第8回---わたしの常識はあなたの非常識
【ろう者だから家を出ていかなくてはならないの?】
思い起こせば、1995(平成7)年の阪神淡路大震災では多くの被害が出ました。神戸市内で散髪屋を営んでいた、ろう者のKさんは家が全壊して復興住宅(復興マンション)に住むようになりました。ところが住み始めてしばらくたった際に「迷惑です。出ていってください」と他の住民たちから言われたのです。
Kさんは理由が分からず「ろう者だから家を出ていかなくてはならないの?」と悩んでいたそうです。。
苦情を申し立てた住人側たちの言い分は「毎日、寝ている時間帯にうるさい音をたてられて寝られなくて困る。何度注意しても改善してくれないので出ていってください。」というものでした。散髪屋をやっていたころは、朝の7時から営業をしていたので、その営業開始に間に合うように朝の5時から掃除をしていました。そこは、1階が散髪屋で2階が自宅という一戸建てだったので、早朝から音をたてて掃除をしていても、文句を言う人はいませんでした。廃業して復興住宅に入っても、同じ感覚で早朝から掃除機をかけ続けていました。Kさんはろう者なので「うるさい」とは感じなかったのです。
そういうことが何度も繰り返されるうちに、とうとう住民から「出ていってください」と言われるようになってしまったのです。
結局、神戸市から派遣された手話通訳の人が間に入り、「早朝は寝ている人の方が多いのです。ここで掃除機をかけるのは、みんなが起きていることが多い昼前後にしてください。」というような説明を受けて納得し、解決したようです。通訳が入るまでは「朝の5時は掃除をしてはダメな時間」ということがろう者のKさんには理解できず、伝わっていなかったのです。
次回は「ろう者だから肺が弱いの?」に続きます。
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