Pochitto(ぽちっト)神戸 | わたしの常識はあなたの非常識
更新:2024.1.23
第35回---わたしの常識はあなたの非常識
【化粧も補聴器も】
「家から数十メートル先のゴミ捨て場に、家庭ゴミを捨てに行く時にも化粧が必要なのよ。」と、人生の先輩の女性から若い時分に聞いたことがあります。
あれから20年ぐらいたち、来年、還暦(60才)を迎える今となって「家から数十メートル先のゴミ捨て場に、家庭ゴミを捨てに行く時にも補聴器が必要なのよ。」と言っている私がいます。「たとえ、少しの距離でも他人に見られるのであれば、すっぴんで人前に出てはいけないわ。化粧は女性にとってみだしなみよ。」という先輩の声を20年位前には「そんなものなのかな。」と聞き流していた私が、今現在は例え少しの距離でも、家から一歩外に出たら、誰に声をかけられるかもしれない。その時に聞こえないことで誤解を招くようなことがあってはいけない、という考え方になりました。
私は今、地域にあるNPO法人の理事長として、子ども食堂の運営をしています。また、訪れてくるろう者(聴覚障害者)の方々とも手話でコミュニケーションをとっています。色々な方から声を掛けられることが多くなりました。
あるとき、こういうことがありました。私の自宅を出て、わずか10メートルのことです。私の後ろから来た人が「山本さん」と声をかけてくださったのです。しかし、私は聞こえずに、そのままゴミ捨て場に向かったのです。声を掛けてくださった人は「無視された」とショックをうけ、踵(きびす)を返し、自宅に戻ったそうです。それから何日か経った後で、その事実を私は知り、ショックを受けました。それから家から10メートル、20メートル先に行く、短い距離でも補聴器をつけるようになりました。
化粧も補聴器も必要と思わない人にとっては、無用の物です。しかし、必要と考える人にとっては、とても大切なものです。
見た目ではわからない悩みや思いを抱えている人は少なくないと思います。地域の中でもお互いのちょっとした気遣いやあたたかい言葉かけを心がけていきたいですね。
次回は「5年目のマスク」に続きます。
神戸市北区(神戸電鉄西鈴蘭台駅周辺)にある手話ができる TKGB社会保険労務士事務所
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