Pochitto(ぽちっト)神戸 | わたしの常識はあなたの非常識
更新:2023.11.23
第34回---わたしの常識はあなたの非常識
【かけいえやおんしゃきしゃ?】
「家族(かぞく)」「山本家(やまもとけ)」「家(いえ)」「我が家(わがや)」というように、「家」という漢字には「か」「け」「いえ」「や」と色々な読み方があります。インターネットで「読み方が多い漢字」として調べると、もっとたくさんの読み方がある漢字もあるようです。
以前、「どうして家は『か』『け』『いえ』『や』と、同じ漢字なのに、たくさんの読み方があるの?」とろう者(聴覚障害者)に聞かれた時に、私はうまく答えることができませんでした。私自身は「家」という漢字に色々な読み方があるのは、今まで生きてきた経験上、聞いたことがあるからだと答えるしかなかったのですが、それを聞こえない人に聞かれた時にうまく説明できなかったのです。
自分が経験したことがないものについては、説明が難しいものだと私は思います。
逆に、健聴者、つまり耳が普通に聞こえる人たちには、耳が聞こえない、という経験がないので、耳が聞こえない人の考え方や感覚がわからないこともあると思います。そこで、お互い誤解が生まれることがあります。
耳が聞こえない人も見た目には健聴者とかわらないので、つい後ろから声を掛けて、反応がないと大きな声を掛けて、それでも反応がないと怒りだす人を見たことが何回かあります。また、仕事場に耳が聞こえない人がいて、「○○しよう」という流れで声を掛けて、みんなわかったと勘違いして、耳が聞こえない人が取り残されるということもよく聞きます。
これらは、自分が経験したことがないことに対しては、うまく対応できないときがある、典型的な例だと思います。手話では同じ表現になるのに漢字では「御社(おんしゃ)」「貴社(きしゃ)」と取引先会社の言い方を変えるのはよくあることですが、ろう者がわかるように説明するのは難しいです。耳が聞こえる人の文化、耳が聞こえない人の文化、どちらにも理解が進めばよいですね。
次回は「化粧も補聴器も」に続きます。
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