Pochitto(ぽちっト)神戸 | わたしの常識はあなたの非常識
更新:2018.7.23
第2回---わたしの常識はあなたの非常識
【シャワーで死ぬ】
昨年(2017年)3月に、私と同い年の健聴者の友人Cが「クモ膜下出血」が原因でなくなりました。クモ膜下出血の死亡率は15%と言われています。早期に治療をしていれば、Cも元の生活ができていたかもしれないそうなのですが、Cが発見されたのが発症数日後で、発見後すぐに救急車で病院に運ばれ 治療を受けたのですが、しばらくしてなくなりました。
もう少し発見が早ければ、助かったかもしれないと聞いて数年前、私の友人Dがなくなったときのことを思い出しました。彼は一人暮らしのろう者(聴覚障害者)です。私が兵庫県で唯一、手話ができる社会保険労務士ということもあり、Dの職場の事について色々と手話で相談を受けました。一つ一つ解決していくうちに、 1年に何回か一緒に食事をしたり、お酒を飲んだりするようになりDは無事に定年退職まで仕事を続けることができました。
ある冬の事です。「最近、連絡がこないなぁ。」と思っていた時、「友人Dがなくなった。」と聞きました。ろう者の友人Eに手話で聞いたところによると、Dはシャワーをあびたまま浴室で倒れていたそうです。寒い夜に温かいシャワーを浴びている際に、体に異変があったそうです。後日死亡の診断をした医師によると、死後何日か経っていいたそうです。 倒れてから24時間以内に発見されていたら助かったかもしれないらしいとEから手話で聞きました。遺体が発見されたきっかけは、事前に彼が依頼をしていた手話通訳者が、約束の日時に待ちあわせのところにいってもDが来ないので、 「おかしい」ということで、彼が住む集合住宅の管理人に鍵をあけてもらい、管理人と一緒に部屋に入ると、彼が浴室で変わり果てた遺体として倒れていたのが発見されたきっかけだそうです。
私は「ずっとシャワーが流しっぱなしなのに、隣の部屋の人が異変に気付いて地域の民生委員や集合住宅の管理者に連絡しなかったのか?」と思いました。
その疑問については「浴室から出て、シャワーを出しっぱなしにしても、耳が聞こえないので、Dは気付かないことが度々あった。初めのうちは、隣人が『シャワーの音がうるさいです。』と直接Dの顔を見て苦情を言いに行ったこともある。 しかし、何回か注意や苦情を伝えても、変わらなかったので、シャワーの音が聞こえっぱなしでも隣人は『またか・・・。』と思い、注意しなくなり隣の部屋のDと会うこともなくなった。だから、異変の発見が遅れたと・・・。 隣人も、まさか倒れて死んでいるとは思いもしなかった。Dはろう者なので普段は他人との交流もあまりなかった。」という状況説明をろう者の友人Eから手話で受けました。
彼の死は「ひとりぼっちのろうあ者をなくそう」という、ろうあ者(聴覚障害者)団体のスローガンについて再認識させられた出来事でした。
次回は、「あなたは約束を守れないの?」に続きます。
神戸市北区(神戸電鉄西鈴蘭台駅周辺)にある手話ができる TKGB社会保険労務士事務所
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