Pochitto(ぽちっト)神戸 | 日本人と英語
更新:2018.3.23
第1回---日本人と英語
15才からイギリスの全寮制高校に入学し、一度も帰国せずに3年間、日本人が1人もいない学校で寮生活した。英会話が上手だと思っていた私は、イギリスの4つの高校から不合格と言われ、5つ目の高校の面接試験で「セクルーショニズム(鎖国政策)」と言い出したのだった。「君はここでそれをよく考えなさい」と校長先生がおっしゃって、入学が許可された。
日本で何を勉強しとったんじゃ・・・とイギリスに6年ほど客員教授として暮らしていた父は、落胆した声で私に言った。いやいやお父さん、これは政府の陰謀なんだよ。今頃ようやく分かったけどさ、日本はいまだに鎖国中なんだよ、と15才の私は、バーミンガムからケンブリッジに向かう列車の中で父と議論を始めた。
イギリスの全寮制パブリックスクールに入学するため、4校目の面接試験を受けた帰り道だった。体裁の整った志願書、日本の学校からの10がずらりと並ぶ成績表を見て、すぐにも来校するようにと言われていた。だが面接が始まってほんの数分で校長先生から笑顔はなくなり、彼女を我が校に受け入れられればよかったんだが、と仮定法過去で言っておられた。それで不合格と分かった。最初は慣れない面接で緊張して不合格になったのかと思っていたが、さすがに私も気が付いた。イギリスの高校で生活できるだけの会話さえできないレベルだった。そんな私の入学を許可したら、学校も私も私の父も、みんなが不幸になる・・・と危惧されるほどだ。
父は、日本の英語教育がいくら遅れているといっても、勉強不足だ、よくそんな状態でイギリスの高校に入学しようと思ったもんだ、呆れるわいと言った。私は、これは日本の政治的な、陰謀ともいえる教育施策であって、実に巧妙に仕組まれた政府の教育操作にまんまとハマった結果がこれだ、と反論した。私は中学校では目立って英語ができる生徒だった。私は英語のおしゃれな発音が好きだし、洋画や洋楽も好きだし、日本を飛び出して外国に住んでみたいなと思いながら、英語を一生懸命勉強していたはずだった。(つづく)
ECC鈴蘭台駅前教室 前島朋子先生