日本人と英語

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更新:2020.7.23

第15回---日本人と英語

イギリスの寄宿学校に入ってゲーム文化から完全に隔離された。そもそも失敗するとゲームオーバーになるのが耐えられず、積極的に取り組む気もしなかった。プログラミングの授業で自分の思い通りのアウトプットが画面に表示されたときの方が、私にはよほど面白かった。

画面を印刷するコマンドを、もしかしてファイルも印刷できるか適当にやってみたら、バリバリンと印字の音がしてじゃんじゃん出てきて歓喜した。歴史のレポートをシャーペンで丁寧に書いたら、なんで鉛筆書きのものを提出するんだと先生は困った顔をしておられたが、コンピュータの綺麗なフォントで印刷して出したら褒められた。

放課後はもっぱらコンピュータ室でプログラム作りに熱中した。それで数週間、学生6名でシェアしているスタディに行かなかったら、私の机は物置になっていた。学校ではクリーニングレディがお掃除をしてくれるので、掃除用具は手近にないし、学生は掃除をする習慣がない。埃だらけの机で勉強できるはずもなく、人の机に物を置くなと言えば一悶着あるだろうから、英語でやり合う気力がなかった私には手に負えなかった。

ますますコンピュータ室に籠もっていたので、成績表にはトモコは学習計画が立てられず、(吸ってもいない)タバコで停学になり、(熱中しすぎて時間を忘れて)授業を無断欠席する、不良な行いに先生方が憂慮しているとコメントがついた。

成績表を受け取った日本の両親は、留学は大失敗だったと毎日嘆いて憤慨していたと後で祖母から聞いた。

一方、イギリスの私はこんなに面白くて便利な物から片時も離れられない、2年間で履修するOレベルのプログラミングの教科書を2、3ヶ月で読破し、自分の技術が信じられないほどレベルアップしたことに興奮して、とうとう帰寮の門限すら忘れてしまい、また停学になって両親は悲しんだ。

数年後、英語が堪能でコンピュータの教育を受けた人材が重用される時代になり、大学には大手外資系のスカウトがよく来ていたが、貧乏学生だった私は英語だけ、プログラムだけの学生よりもよほどいい待遇にありついてご満悦だった。高額なバイト料を得て学費を自分で払い、経済的に自立したことで自尊心を回復した。ただ実家の方では、東京に出した娘が輪をかけて不良になったもんだと家族が心を痛めていた。(つづく)

ECC鈴蘭台駅前教室 前島朋子先生

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