Pochitto(ぽちっト)神戸 | 日本人と英語
更新:2018.9.23
第4回---日本人と英語
イギリスの高校で、物理、化学、数学のAレベルを3つ履修していた私は、ブルネイ出身の友人から、あなたってものすごく賢いんだねと言われた。
彼女は美術だけである。私はその他に生物、英語、イギリス史、プログラミングを0レベルで学んでいたが、生物は半年後に断念した。
ラテン語名が覚えきれず、先生に相談に行ったら、仕事で使わないならやめなさいと言われた。日本ではみな11科目やっているというのに、私は6つになってしまった。これで成績が芳しくないとついに落伍者になる気がして怖かった。
スタディという7人ほどで使う勉強部屋がうるさくて勉強がはかどらず、耳栓を購入した。私に話しかけても返事をしないので、かえってからかわれて集中できない。同室の生徒が壁に貼ってあるポスターを指差して、トマートウ、ヘーイ、よく聞け!はがすからそこをただちにどけっ、と私の方を揺さぶりながら大声で言うので慌てて立ち上がると、彼女は机の上にドンとのってバリッとポスターをはがしていった。
私の書いていたレポートの上にくっきり靴の跡が残っている。きれい好きの日本人には耐えられないと知ってのことだろうか。泣きながら書きなおす私を気の毒に思ってそっとしておいてくれたのか、誰も私に声をかけずに寮に帰ってたので、気がついたのは門限をとっくに1時間も過ぎた頃だった。
寮長先生の部屋に報告に行くと、それこそ退学にもなりかねない深刻な事態になっていた。
物理のゴーバット先生は、なんでレポートをシャーペンで書くのかね、これは下書きかね、読みにくい、もう物理はドロップしなさいトマト君、とおっしゃった。でも私、勉強しないといけないんです。ドロップできないんですと懇願すると、君に物理が必要なのかを考えるべきだと言われた。多すぎる科目をなぜ減らさないのか、できると思っているなんてどの教科も大事にしない傲慢な生徒だ、と先生方は指導してくれない。父にもらった書きやすくて指が痛くならないシャーペンで、いっぱい勉強しようと思っていた。トマートウ、ヘーイ、それ貸して、と言われてシャーペンを彼女にわたすと、コーヒーをくるくるかき混ぜて、タァと言って返してきた。
ECC鈴蘭台駅前教室 前島朋子先生