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更新:2019.11.23

第11回---日本人と英語

歩道のそこかしこにタバコの吸い殻が落ちているヨーロッパの喫煙習慣は厄介だった。イギリスでは以前は16歳から喫煙できたので、学校では禁止だから我慢するが休暇中にタバコを吸う学生が多かった。一方でタバコを最も下品で忌々しい習慣だと憎む人も多い。

イギリスの数学は簡単だった。物理はエネルギーや運動の高度な内容を扱うのに、中学数学で易々と解けるような問題ばかりだ。それなのに香港のミシェルは途中で数学をドロップし、ドイツ人のナンシーは因数分解を私に教えてもらって喜んでいたが、二次関数は難しすぎた。

ナンシーは優等生だったが、一歩学校を出ると優雅にタバコを燻らせながらギネスビールを飲む、整った容姿にその不良っぽさが美しかった。Aレベルの数学を勉強したいからホリデイ中にトモのステイ先に一週間泊まりたいというので、サザーランド夫人にタバコの吸えるステイ先を紹介してもらうつもりだった。

だがステイ先のホステスは、夫がタバコで死んだという強烈な嫌煙家で、語学力のせいで私の要望は真逆に誤解されたのかと思っていた。せめて新学期にナンシーと数学の話題で仲良くしたかったので、サザーランド夫人の知人で数学科の大学生に家庭教師に来てもらった。

私の方が数学に詳しいので、君には家庭教師なんか必要ないじゃないかと不機嫌だった。目的は英会話だから私はこれで楽しいのだと説明すると、彼の顔はさらに曇り、3回目にチワワに噛まれて来なくなった。夫人から電話で、彼は私の態度に憤慨していたし、悲しんでいたと聞いた。

私は友達と数学を勉強したかったのに、そもそもここは喫煙できないんですか、誤解があったようで残念ですと詫びた。

新学期に学校にもどるとファーラント校長から呼び出され、君は本校の古くからの友人であるサザーランド夫人を侮辱した、夫人は非常に悲しんでいたが説明したまえと言われた。ナンシーをスモーカーだと売るわけにもいかず、タバコが吸えなくて困りました、誤解があったようなので夫人に説明したかったのです。というと校長先生は真っ赤になり、夫人はタバコの悲劇を教えようと計らってくれたのに君は平然と校則違反するつもりかね、二週間のディテンション(罰則)だと怒られた。掲示板にトモコはディテンションと張り出され、何やらかしたのさとアリエンヌに聞かれて「スモーキング」と答えると、ファームの先の校舎裏で吸えるよと教えてくれた。ディテンションについては教えてくれなかったので、すっぽかすとは怠惰にも程があると叱られ、懲罰は一ヶ月間に伸びた。(つづく)

ECC鈴蘭台駅前教室 前島朋子先生

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