Pochitto(ぽちっト)神戸 | 日本人と英語
更新:2021.1.23
第18回---日本人と英語
イギリスの冬は暗くて寒くて長い。クリスマスショッピングに全校生徒がバスに乗り、2時間ほどのバーミンガムのモールに出かけた。外は真っ暗で家々やお店のイルミネーションが美しかった。
ボディショップがシャンプーを量り売りしていて、大きなジャーにいい匂いの甘い色合いのローションが並んでいた。初めてありったけの小遣いでコスメを買い込んで有頂天だった。
寮生活では地下の売店でクリスプスを買うか、2時間しか営業しないチッピーで買い食いするくらいだった。素敵なバッグに入った3本のボトルから高級な匂いがして、帰りのバスでずっと包みに顔を埋めて嗅いだ。
明日からシャワーの時間が楽になると思うと心が軽くなった。寮のシャワーはバスルームにあるので、トイレがずらっと並ぶ反対側の壁面に沿って、天井の温水パイプにシャワー口が設置されており、じょろじょろ上から降る水の下に立って流れっぱなしで洗う。
カーテンも仕切りもないので靴や着替えはびしょ濡れで、日本から持ち込んだ石鹸はとうに溶けてなくなっていた。バスルームは寮の外にあり、入寮して1週間後には裸足にバスタオル1枚で極寒の朝にぺたぺたと歩いていき、シャンプーで全身を洗うようになった。
朝は混雑するので水量が少なく、時には温水が追いつかないこともあるが、夜は誰もいないので広いバスルームは寒すぎて勇気が出ない。バスタブはないのでお湯にはつかれない。ケンブリッジで父と弟達が住んでいた大学の借家に2週間泊まったが、そこにはヨーロッパらしいバスタブ、バスルームの床は絨緞敷でオイルヒーターがあった。
バスジェルも数本あって贅沢だったが、なぜあれを1本くらいくすねてこなかったのかと後悔していた。だがこのボトルのボディーソープならもう大丈夫だ。バスが寮に到着し、皆と一緒に食堂に向かうと巨大なクリスマスツリーがデコレーションされて飾られていた。ツリーの足元にプレゼントが積まれており、みんなどんどん買い物した包みを置いていった。
クリスマス当日にそのどれか1つを誰かがもらうというルールだと言われ、私のボディーショップの包みもさっさと積み上げられ、25日には真っ先になくなっていた。
(つづく)
ECC鈴蘭台駅前教室 前島朋子先生