Pochitto(ぽちっト)神戸 | 街角浪漫
更新:2018.3.23
第7回---街角浪漫
満月が1度も無かった2月も終わり、山並みが俄かに色ずく準備をしだしましたね。若い鶯が、歌声の練習を始め出す頃からこの街は、百花繚乱、各家庭の庭先から春が咲き始めます。
花泥棒は罪に為らないとは言いますが、ここの街の人々のガーデニングの質の高さは、市内でもトップクラスでしょう。出前配達で、どの路地に行っても花が咲いている事が誇らしい限りです。鳴子公園からの道が、白い木蓮で、より上品な坂道に化粧し始めると、桜が咲きだします。何時も通る道なのに何故かワクワクしてきますよね。
西鈴蘭台駅前の自転車置き場から第三団地沿いに、南五葉歩道橋迄の道が、花弁が舞い落ちる桜ロードに変わり、そしてその歩道橋から朝陽が昇る方を見ると、赤から青に変わる空をキャンパスにした鈴蘭公園の桜が、風に吹かれて静かに佇んでいます。少し早起きをしても損はない景色ですよ。お花自慢のこの街のお勧めと言えば、北五葉と泉台とを結ぶ遊歩道の桜です。百数十メートルにわたって続くトンネルは、萌、癒し?言葉に成らない程見事な並木です。
そして、もう一つお勧めを紹介しますね。南五葉4丁目の唐谷公園の桜も素晴らしいですよ。特に、夜になると大きな月が摩耶山辺りから昇って、咲き誇る夜桜を月光が、朧げに照らしてくれるのですが、夜風に耐え、満開になるまで凛として咲き誇る風景は、まさに月に帰ったかぐや姫からの贈り物に思えます。水上勉さんの「櫻守」を始め、こんなにも日本人に愛される桜というのは、おそらく季節を少しずつ刻んで想い出に変えていくツールとして、とてもわかり易い風景を作ってくれるからでしょうね。紅葉になるまでこの木は私達をたのしませてくれます。高校時代の先生が、登校の時に、毎日道を選んで歩いていますとおっしゃっておられましたが、この頃は何となくそのお気持ちが解る様な気がします。
作 山善寿司 大将