Pochitto(ぽちっト)神戸 | 街角浪漫
更新:2024.7.23
第45回---街角浪漫
木次(きすき)線の旅 続編
備後落合から長いトンネルを抜け、Z型にジグザグと急こう配を降りていく三段式スイッチバックを体験して到着した出雲坂根から再乗車します。次の八川駅は映画の撮影にも使われた駅で、そばの蕎麦屋さんに予約しておくとホームで受け取ることが出来ます。
駅に大きなしめ縄が飾られている出雲横田駅は八岐大蛇に食べられそうになった櫛稲田姫(クシナダヒメ)が祀られていますが、稲田神社の境内にも蕎麦屋が有ります。そして「砂の器」の舞台になった亀嵩駅へ。ここでも予約すれば蕎麦弁当が受け取れます。この地域の人に聞きましても、流石にもう東北弁を話す人は少ないらしく、むしろ宍道湖側の平田という所には、それが標準語という人が多いそうです。
次の出雲三成駅は停車時間も長く特産市も併設されており色々物色出来ます。お勧めは、江戸時代に全国最高の製鉄量を誇ったたたら製鉄跡を利用して出来た仁多米です。四つ出雲の名の付いた最後の出雲八代からは斐伊川と少し分かれ木次駅迄、旅情に沁みる車窓風景を走ります。木次駅にも、ヤマタノオロチの頭を埋めた八本杉等スサノウにまつわる古事記の伝説地がそこらかしこに在ります。
少し東に行くと、なんと清々しい風景やと絶賛したスサノウが「八雲立つ出雲八重垣妻ごみに 八重垣つくるその八重垣を」という日本で最初に和歌を詠んだ須賀神社が建っています。すこし山に入った奥の宮に是非足を延ばして下さい。山からの湧水で禊を済ませ、和歌が刻まれた石碑が並んだ階段を登り切るとこれぞパワースポット、スサノウ一族を祀った巨石が並んでいます。高天原で散々悪態を尽くし、生田神社の御神体の雅日女尊(わかひるめ)を殺した極悪非道のスサノオが、奥出雲の船通山に降りてきて、川に流れる箸を見たとたんに、オロチに食べられそうになった櫛稲田姫を助けヒーローに変わりますが、神様でもやり直しが出来るのならば、人なんて生きている内に何回でもやり直せると教えて下さっているような気がします。
木次駅から大東、加茂駅を通って山陰線の宍道駅迄は合流した斐伊川が作った広大な扇状地を駆け抜けていきます。秘境駅につながる絶景路線木次線、路線自体がまさに古事記のテーマパーク。更に温泉や古墳も多く何回行っても新しい発見が有ります。
作 山善寿司 大将