Pochitto(ぽちっト)神戸 | 街角浪漫
更新:2017.11.23
第5回---街角浪漫
北区が誕生する前、西鈴蘭台周辺は、山田町小部という地名でした。藍那を経て、呑吐ダムそして有馬街道の久保の辺りまでの広大な地域を山田村と呼んでいました。大池の分水嶺から山田中学校の横にある農村舞台を抜け、箱木千年家を横に明石へと流れる志染川沿いの田園地帯はいたる所に名所、旧跡が残っています。
箕谷から428号線を西へ、原野橋を渡った所に、白滝姫伝説(奈良時代)が残る「栗花落の井」では今でも清水が湧き出ています。そこから「新兵衛石」を座標に少し北へ登ると、人の手で丹念に手入れをしないと匂わない山里の香りを漂わせた『無動寺』の参道があります。本堂へ続く道を進めば、いにしえの巡礼者と参拝しているような時空を超えた静かで穏やかな空気にふれながら本堂に辿りつきます。中には大日如来をはじめ、数体の仏像が安置されています。
東京方面からの仏像ツアーの一つにも選ばれている程の殊宝ですから、国宝級というのも頷けます。一般公開しておられますので是非一拝仏してみてください。
そこから少し西へ足をのばすと山田村の総鎮守社である『六條八幡宮』が室町時代に創建された「三重塔」とともに鎮座しています。神戸市内で唯一残る「流鏑馬神事」が行われる事で有名ですので、ご存知の方も多いと思います。この神社ではもう一つ「神輿」も残っており、我々旧小部村の人間も八年に一度禊に参ります。数々の戦乱や、天災に見まわれながらもこうした文化財を村の人々は守り抜いて来ました。そして、今や宝物になっています。この西鈴蘭台が開かれて50年・・・、100年後、200年後のこの街に住む人々のためにも何か残していきたいですね。
作 山善寿司 大将